|
出版社:岩崎学術出版社
出版日:2014年08月
ISBN10:4753310752
ISBN13:9784753310753
販売価格:2,530円
●心理士がさまざまな職域で日々働いていくうえで、そこで生じた事象を自分なりに考え、見えなかった人間関係や人間のこころを可視化(アセスメント)し、見えるようになった問題を関係者と共有し取り扱っていくこと(マネジメント)が必要とされる。著者らは本書で一貫して精神分析理論を基盤にさまざまな事象を考え、多様な臨床現場でそれを応用していく方法を考える。事例編では、クリニック、学校、児童養護施設、精神科病院での実際の事例を基に4つの架空の事例検討会を再現し、理論を基盤としながら同時に自らのこころを使って考えるという実践感覚を生き生きと伝える。
『本書で伝えたいこと』
この本で伝えたいことは、時代や社会の変遷に関係なく信頼される心理士であり続けるのに必要なことは何か、です。
1つは、一貫した志向性と考えを持つことです。なぜなら今も昔も人がこころの中で体験すること、こころの動きの本質的なありようは変わらないからです。事例編で示したように、この本の中で私たちは一貫して精神分析の理論に基盤を置いてさまざまな事象を考えていく姿勢を維持しています。
2つ目は、そこから自分なりの応用性を身につけることです。本書では4つの職場を取り上げましたが、心理士の職域は多岐にわたります。そうした多様な臨床現場でいかにそれを応用していくのか考える実践の姿勢です。(「おわりに」より)
●目次
監修者まえがき(中村留貴子)
はじめに
第1部 事例編
1 心療内科クリニック内カウンセリングルームでのケース──事例発表者:20代半ば、臨床歴2年の女性臨床心理士
2 スクールカウンセラーのケース──事例発表者:20代半ば、臨床歴3年の女性臨床心理士
3 児童養護施設のケース──事例発表者:20代後半、臨床歴2年の男性臨床心理士
4 精神科病院のケース──事例発表者:20代後半、入職2年目の男性臨床心理士
第2部 理論編
1 心理臨床における精神分析的実践──治療0期の「耕し」と「治水」(岩倉 拓)
I はじめに
臨床現場の問い/精神分析的臨床とは?
II 精神分析を0期に生かすーー精神分析的臨床の方向感覚
生物ー心理ー社会的視点
転移の理解(T-P-O連結)
力動的認識
コンテイナー/コンテインド
“具象と排出”→“象徴化・主体化”していく方向性
治療構造論的認識
発達論と発達課題
III 職場に入ったらーー0期の耕しと治水
2 出会いの体験とそのアセスメント(湊真季子)
I はじめに II 力動的アセスメントとは III アセスメントにおいて心得ておくこと IV アセスメントの実際 V アセスメントとしてまとめあげるために考えること VI 言葉にすること=見立てを伝え、話し合う VII まとめ
3 精神分析的心理療法と治療構造論的理解(中村留貴子)
I はじめに II 治療構造の諸側面 III 治療構造の心的機能 IV 転移の取り扱いをめぐって V おわりに
精神分析とマネジメント──監修者として(藤山直樹)
I はじめに:精神分析、心理臨床、精神医療 II 精神分析と心理臨床は別物である III 精神分析と心理臨床の連携 IV 精神分析的実践と心理臨床・精神医療の差異 V 精神分析的自己ということ VI 精神分析自己の内在化に向けて VII おわりに:理不尽を超えて
おわりに
コラム─初心の臨床家に伝えたいこと、そしてお薦めの1冊
1 所詮人のやること、されど訓練は嘘をつかない(狩野力八郎) 2 まずどういうところに着眼するか(成田善弘) 3 アセスメントを通じた「見立て」の意義(平井正三) 4 毎回の心理療法面接はアセスメントでもある(松木邦裕) 5 推理力を養うこと(乾 吉佑)
|