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出版社:岩崎学術出版社
出版日:2021年10月26日頃
ISBN10:4753311910
ISBN13:9784753311910
販売価格:2,530円
事例検討会の形式はいろいろあります。そのいずれにも共通するのは,複数のメンバーが集うことによって,そこには一定の社会的な構造が存在することでしょう。個人スーパービジョンとは異なる面持ちの空間になりますし,グループスーパービジョンとも少し違うようです。メンバーの数だけ臨床感覚や理解の仕方,技法の選択などがありますので,同質のものにも異質なものにも触れる機会となります。とりわけ異質なものに出会ったとき,私たちの臨床的感覚と理解は一段と進化するように感じます。自分では思ってもいなかったような視点が提示されることもありますし,アセスメント自体も修正を余儀なくされたり,良かれと思ってしたことが否定されたりという経験は皆が共有するところです。自分自身の人間性や臨床家としての資質そのものにダメ出しをされたように感じて,深刻に落ち込むこともあります。そういう苦しいけれども意義ある体験に開かれていくことが,クライエントに対するセラピストとしての姿勢にもつながり,さらなる可能性を開いてくれると思います。(「はじめに」より抜粋)
はじめに
第1章 事例検討会の位置づけ
1 事例検討会のすすめー理解というものは常に誤解の総体に過ぎない
コラム グループに関する概念の紹介
2 事例検討会を通しての体験ー今ここで考え,言葉にすること
コラム 精神分析的心理療法セミナーの成り立ち
コラム 個人スーパービジョン体験との比較検討
第2章 事例検討会の実際
1 仕事の場面での対人緊張を主訴に来談したケースー同一化による膠着からの解放
コラム 助言者を担当してーライブとしての事例検討会
2 恋愛関係の悩みから情緒不安定になったケースー密室の出来事をオープンにすること
コラム 参加者からの助言と外部の先生からの助言
3 過食嘔吐と自傷を繰り返す女性のケースー事例検討会という場で生成されるもの
コラム 事例検討会の記録者として考えたこと
第3章 心理療法家としての学びー専門家を目指して
1 精神分析的な治療者の育ちと集団《グループ》の役割
コラム 事例検討会での体験ー初心の頃と比較して
2 自己愛の傷つきの場としての事例検討会
コラム 治療者の主体性,そして自律性の養成の場として
第4章 座談会ーなんでもしゃべってみよう
おわりに
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