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出版社:法政大学出版局
出版日:2015年12月26日頃
ISBN10:4588100327
ISBN13:9784588100321
販売価格:2,860円
人は人をどのようなものだと考えてきたか。人が行うこの自己規定は、裏を返せば「人ならぬもの」を規定することである。人ならぬものとは、人に及ばないもの、そして人を超えたものだ。人間世界を規定する条件を論じた第1巻に続き本巻は、鬼(=死者の霊)・禽獣(=動物)・石を手がかりに、幽霊の出没、聖獣の出現、人から動物への変身、子を産む石や食べられる石など不思議で多彩な物語とともに、人を超えた豊かな文化の営みを論じる。
総説 (廣瀬玲子)
人ならぬものと文
1 文と鬼
2 文と禽獣
3 文と石
第一章 鬼について (廣瀬玲子)
1 鬼をまつる──『論語』
2 鬼は存在すると見なすほうがいい──『墨子』
3 鬼は存在しない──王充『論衡』
4 鬼に会った話──六朝時代の小説
5 死後の世界(一)──海上の冥界
6 死後の世界(二)──泰山
7 鬼神について──朱熹
8 冤罪を訴える鬼──元の戯曲「感天動地竇娥冤」
9 柩のなかへと人を引き込む鬼──明代小説『剪燈新話』より「牡丹燈記」
10 生き返る鬼──明の戯曲『牡丹亭還魂記』
11 近代の鬼──過渡性の隠喩
第二章 禽獣について (本間次彦)
1 禽獣とは何か(一)──張載・邵雍・程子
1 張載
2 邵雍
3 程子
2 禽獣とは何か(二)──朱子
3 禽獣とは何か(三)──戴震
4 聖人と禽獣(一)──禽獣の脅威と孔子
1 災害と暴君
2 「聖人の道」と孔子
3 禽獣への転落
4 孔子とは誰か
5 聖人と禽獣(二)──象徴としての鳳凰・麒麟・龍
1 孔子と鳳凰
2 孔子と麒麟と『春秋』
3 帝王と龍
6 韻文の中の禽獣
1 『詩経』
2 「上林賦」
3 「山居賦」
4 「鵩鳥賦」
7 散文の中の禽獣
1 『山海経』と鳳凰
2 『聊斎志異』と虎
8 殺生とユートピア
第三章 石について (土屋昌明)
1 啓母石
1 啓母石のいわれ
2 禹の神話
3 禹が熊になるのはなぜか
4 禹が石を蹴飛ばすのはなぜか
5 啓母石はなぜ嵩山にあるのか
6 石から生まれたのは誰か
7 塗山氏が石に化したのはなぜか
8 巨石と女性
2 黄石公
1 隕石の持つ意味
2 黄石公と張良の師弟関係
3 黄色い石の神秘化
4 黄石公と張良と道教
5 張道陵の神話と張良・黄石公
6 石が書いた本
3 太湖石と洞天
1 名山と洞窟
2 洞天の特徴
3 洞窟の内部
4 石は食べられる
5 地下でつながる洞天
6 洞天思想の由来
7 再び太湖石の穴へ
結語
余説
麒麟にみちびかれて──中国古典へのいざない (廣瀬玲子)
索引
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