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出版社:法政大学出版局
出版日:2016年03月23日頃
ISBN10:4588100335
ISBN13:9784588100338
販売価格:2,860円
中国の伝統思想では、神という存在を必要としない。儒教で諸価値に権威を与えるのは神ではなく「人である」聖人であり、もの言わぬ天を代弁し、民に対して範を示す。人間世界を規定する条件を論じた第1巻、人ならぬものを論じた第2巻に続き本巻は、人のうちでも並外れた存在でコスモスと関わる聖人、道家・道教が理想とする真人、そして常軌を逸した行動をとる狂者について論じ、儒仏道三教にまたがり、文明の境界に関わる存在から、「人」そのものを問い直す。
総説 (志野好伸)
1 孔子は聖人か
2 孔子を王にする
3 墨家の聖人観
4 儒家の聖人観
5 道家の聖人観
6 聖人に準ずる隠者と狂者
7 聖人を批判する狂者
8 隠棲と登仙
9 玄学の聖人観
10 儒仏道の対話
11 六朝・唐の狂者
12 朱子学の聖人観
13 朱子学の狂者批判
14 陽明学の聖人観
15 陽明学の狂者評価
16 キリスト教の神と中国の聖人
17 近現代中国における聖人像
第一章 聖人について (内山直樹)
1 聖なる人々
2 聖人の稀少さ
3 文明の創造
4 制作か妄作か
5 聖人と変通
6 聖人と法
7 周公の評価
8 神、聖、賢
9 聖人のしるし
10 天より生まれた者
11 聖人の神秘化
12 心の七つの穴
13 聖人は知りうるか
第二章 真人について (土屋昌明)
1 聖人から真人へ──『荘子』大宗師篇(一)
2 真人と道──『荘子』大宗師篇(二)
3 真人の実践──秦の始皇帝
4 聖人の最重要な役割──文字の創作
5 聖人の特殊な語学力
6 讖緯思想による真人の再登場
7 道教と真人(一)
8 道教と真人(二)
9 天から授かった文字(一)
10 天から授かった文字(二)
11 仏教と玄聖の翻訳
12 おわりに
第三章 狂者について (廖肇亨・志野好伸)
1 近代中国における狂
2 唐代の詩人と狂
3 唐代の禅と狂
4 明代文人における狂
5 陽明学における狂
6 晩明狂禅
7 清代・民国初の狂評価
余説
現代に聖人を問う (志野好伸)
索引
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