吉見俊哉論

動き続ける知性、吉見社会学の核心と可能性 都市論に始まり、メディア論、カルチュラル・スタディーズ、アメリカ論、大学論など数々の分野で新たなテーマと方法論を切り開き、いまなお前進を続ける吉見俊哉。1980年代から今日におよぶ、その膨大で多種多様な研究の核心と革新性はどこにあるのか、そして何を引き継ぎ発展させることができるのか。吉見に学び研究の前線に立つ精鋭たちが挑む初の試み。 「私たちは、吉見俊哉の伝説を作ろうとは思わないし、師の教えの伝道者になろうというのでもない。選んだのは、「吉見俊哉論」という学説史の形式、一つの知的な個性として彼を論じるというかたちを借りながらも、安全地帯から一方的に彼を論じるのではなく、それぞれが進めつつある学問を背負い、全身全霊で彼とぶつかりつつ論じる、という試みだった（第一部）。そして、吉見俊哉から受け取ったものをそれぞれがどう展開・転回させているかを論じることを通じて「吉見俊哉とは一体何者か」という問いに差し戻す、という試みでもある（第二部）。」（本書より） ＊ 目次 第一部　吉見俊哉論を切り拓く 亡命先としてのメディア論 ーー社会意識論・歴史社会学のゆくえ………野上元 ドラマトゥルギーのひと ーーカルチュラル・スタディーズ、文化研究、カルスタ………山口誠 吉見俊哉における「東京・盛り場・社会史」………難波功士 まなざしと境界の社会学 ーー吉見俊哉における消費社会の主題のゆくえ………新倉貴仁 吉見俊哉と東アジア ーーアクター・ネットワーク・レファレンス………金成玟 吉見社会学の方法論 ーー吉見俊哉は〈テクスト〉といかに向き合ったか………北村匡平 コラム　アメリカ地域研究と吉見俊哉 ーー「アメリカ化」と「デジタル化」の視点より………市川紘子 コラム　知識の脱中心化………アマンダ・ワイス 第二部　「吉見俊哉」からの展開・転回 マンガーメディアー文化への問い ーー〈吉見俊哉〉の遠心力………瓜生吉則 本とコンピュータ再考 ーー書物とアーカイブのための覚書………柴野京子 「未熟さ」の帝国 ーー吉見俊哉のアメリカ論とジャニーズ………周東美材 映像の地理学 ーー一九八〇年代のレンタルビデオ店………近藤和都 パブリック・リレーションズと戦後日本 ーー「アメリカ」という他者の戦略的受容………河ケイ珍 防…