古代国造制と地域社会の研究

近年、7世紀代に遡る木簡の出土や宮都の調査によって大化前代の研究が盛んになり、中央政権の地方支配制度である国造制についても、新たな成果が発表されている。それらをふまえて、「国造」の語義、国造のクニ、東国国司詔の意味、風土記や神賀詞奏上に見える出雲の特殊性など、前著の批判への反論も交えて、現在の国造制研究の最先端を論述する。 国造制と東国（「国造」と国造制〈令文の「国造」／『常陸国風土記』建郡（評）記事の「国造」〉／国造の国（クニ）再考ー神崎勝氏の所論にふれて〈「クニ」の語義／『常陸国風土記』における国造のクニ／評制施行後のクニ〉／令制国の成立と東国〈国宰制の成立と「国」表記　／国境画定事業と東国／孝徳期の東国「国司」〉以下細目略／国造の「氏姓」と東国の国造制／東国国司詔の史料性について／山上碑を読むー「佐野三家」を中心として／コラム　『隋書』倭国伝の「軍尼」と「国」）／国造制の展開（伊豆国造小考／伊豆国造再論／『粟鹿大明神元記』の「国造」／出雲臣とヤマト政権ー出雲地域の東と西／出雲国造神賀詞奏上儀礼小考／『出雲国風土記』の郡司／律令制下の紀伊国造／コラム　国造田と郡司職分田）