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出版社:アジア経済研究所
出版日:2012年12月
ISBN10:4258290327
ISBN13:9784258290321
販売価格:1,980円
本書は、エジプト1.25革命の背景にある国内的な文脈について、多面的に考察したものである。主たる対象時期を1990年代以降としたため、1.25革命を20世紀初頭以降の歴史的な文脈のなかで位置づける考察や、あるいは現在進行中のアラブ諸国における政治的変動と比較して分析することはできなかった。広範な論点から1.25革命をとらえることを今後の課題としたい。エジプトの1.25革命はいまだ成就せず、またほかのアラブ諸国においても「アラブの春」はすでに過ぎ去った。さらに、シリアやアラビア半島では「長いアラブの夏」に突入した。2011年初めにアラブ諸国を席巻した熱狂は、表面的には消失しつつあるかのようにもみえる。しかしながら、エジプトのタハリール広場での大規模な抗議行動で覚醒した新しい社会運動は、今後アラブ諸国に確実に引き継がれるだろう。
序章 エジプト動乱 / 伊能 武次
はじめにー「アラブの春」の明暗ー
第1節 エジプト1.25革命の文脈
第2節 本書のねらいと構成
おわりに
第1章 未完の革命エジプトー移行期の政治序説ー / 伊能 武次
はじめにー迷走するムバーラク後の政治ー
第1節 ムバーラク政治とはなんであったかームバーラク政権試論ー
第2節 新しい政治のはじまりー1.25革命の背景ー
第3節 2月11日以後の政治
おわりに
第2章 政府と企業ー1990年代から1.25革命までー / 土屋 一樹
はじめに
第1節 経済改革期の経済開発政策と政策の担い手
第2節 生産活動の担い手としての企業と経済団体
第3節 政府と企業の関係
第4節 1.25革命と政府・企業関係
おわりに
第3章 2000年代後半における抗議運動と1.25革命ー労働運動と民主化運動の発展過程に注目してー / 金谷 美紗
はじめに
第1節 2007年以降における労働運動の変化
第2節 労働運動から民主化運動へ
第3節 民主化運動の高まりから1.25革命へ
おわりに
第4章 体制移行期における宗教政党の躍進ー2012年人民議会選挙の考察ー / 鈴木 恵美
はじめに
第1節 選挙制度の改正
第2節 選挙結果
第3節 イスラーム穏健派ー自由公正党ー
第4節 イスラーム厳格派ーサラフィー主義政党ー
おわりに
第5章 エジプトにおける1.25革命の社会経済的背景ー人口、失業、貧困ー / 岩崎 えり奈
はじめに
第1節 若者の人口増大
第2節 失業問題
第3節 所得格差と貧困
おわりに
あとがき
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