アジア系トランスボーダー文学

アジア系アメリカ文学から 「アジア系トランスボーダー文学」へ アメリカとアジアの間を往還する「世界文学」としてのアジア系文学、SF、グラフィック・ノベル、クイア文学、原爆文学など、ジャンル的な広がりをみせるアジア系文学、エコクリティシズム、マルチカルチュアリズム／マルチレイシャリズム、インターレイシャリズム、人種的ハイブリディティ、ポリカルチュアリズムなどの特徴を持ったアジア系文学……。 領域的・地理的のみならずジャンル的・パースペクティヴ的にもトランスボーダー化した文学を「アジア系トランスボーダー文学」として研究を進展させる論集。 序　アジア系アメリカ文学研究の新地平を目指して／山本 秀行 第1部　領域的・地理的トランスボーダー化するアジア系文学研究 第1章　ヴェトナム系アメリカ難民の文学ーー創造と再生／麻生 享志 第2章　初期アジア系アメリカ文学のトランスボーダー性ーースイシンファーの作品を再読する／松本 ユキ 第3章　日系日本語文学におけるトランスボーダー性ーー移民地文芸の探求において／水野 真理子 第4章　野口米次郎の翻案探偵小説探訪ーー『幻島ロマンス』（一九二九年）の東京府地図／宇沢 美子 第5章　根（ルーツ）を下ろす場所を求めてーートランスボーダー文学としてのジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』／志賀 俊介 第6章　ボルヘスとオースティンーーカレン・テイ・ヤマシタの『三世と多感』における迫害言説への抵抗／牧野 理英 第2部　アジア系文学のジャンル的トランスボーダー 第7章　SFとしてのアジアーアジアSF前史ーーディック、ロビンスン、チャンへ至る歴史改変想像力／巽 孝之 第8章　アジア系グラフィック・ノベルの現在／中地 幸 第9章　二一世紀のアジア系セクシュアル・マイノリティ文学ーー交差する人々の物語／渡邊 真理香 第10章　アジア系詩人フレッド・ワーの実験詩ーー『センテンスト・トゥ・ライト』における「ハイフネーション」の機能／風早 由佳 第11章　日系文学と原爆ーーナオミ・ヒラハラの〈マス・アライ〉シリーズにみる放射能汚染とポスト植民地主義の言説／松永 京子 第3部　トランスボーダー化するアジア系文学の研究パースペクティヴ 第12章　人新世における共生の物語ーーヒロミ・ゴトーの『ダーケスト・ライト』／岸野 英美 第13章　ヴェリナ・ハス・ヒューストンの戯曲にみる多文化多人種の象徴としての「茶」の役割／古木 圭子 第14章　日系カナダ人と先住民の交差ーージョイ・コガワの小説から考える／加藤 有佳織 第15章　人種ハイブリッディティから生じる不安と超克ーーニーラ・ヴァスワニの『あなたが私に国をくれた』／ウォント盛 香織 第16章　フレッド・ホーの〈アフロ・エイジアン・コネクションズ〉にみるポリカルチュアリズムとその新たな可能性／山本 秀行