かたちある生

権力，物語，教育，そして倫理の根源ともいうべきこのアポリアを，アドルノを中心にした批判理論の系譜から読み解く．カント，ワーグナー，ニーチェ，ハーバーマス，サイード，ホネット，デリダ，バトラー．難解で知られるフランクフルト学派最重要人物の思想を膨大な文献と大胆な人物相関図から徹底的に論じ，ビオグラフィーの哲学という新地平を切り開く． 序章アドルノという気がかり ー先人たち 第一章　全体性の幻想ーーアドルノとワーグナー 第二章　生の肯定か否定弁証法かーーニーチェとアドルノ ー形成された思想 第三章　アドルノの「自然史」についてーーその理論的可能性の再検討 第四章　知識人の住まう風景ーーアドルノとサイード 第五章　震える理性ーーアドルノはカントから何を学んだか ー後継者たち 第六章　非同一的なものの承認ーーアドルノからホネットへ 第七章　生命倫理の時間論ーー生活史をめぐって（1） 第八章　非同一的な時間の承認ーー生活史をめぐって（2） 第九章　制度の道徳的基礎づけは可能かーーホネット承認論の現在 ービオグラフィーの哲学的問題圏へ／自己と他者との間で 第十章　何が「君自身について物語れ」と命じるのか　-オートビオグラフィー・ビオグラフィー・ビオポリティーク 第十一章　アドルノとは誰かーービオグラフィーのビオポリティーク