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出版社:法藏館
出版日:2020年03月11日頃
ISBN10:4831826073
ISBN13:9784831826077
販売価格:1,320円
「中世は武士、そして鎌倉新仏教の時代である」。誰もが教科書で知るこうした歴史像は、決して正しいものではなかったーー。
強靱な論理力と斬新な学説で中世史の構図を一変させ、「武士階級発展史観」にもとづく中世理解に鋭く修正を迫った黒田史学。「顕密体制論の立場」「「院政期」の表象」「中世における武勇と安穏」「「中世」の意味」など、その精髄を示す論考を収めた不朽の名著。解説=平雅行。
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黒田氏の論考は、私たちが懐いている歴史像のゆがみを、白日のもとにさらけ出す力をもっている。神話とは古事記や日本書紀だけの話ではない。私たちは今なお神話の時代を生きている。そしてゆがんだ神話が、さまざまな形で現代社会を拘束し、私たちの意識にも大きな影をおとしている。こうした現実への批判意識が、神話的歴史像の解体へと黒田氏を駆りたてつづけた。氏の研究は、学問のための学問から最も遠いところにある。私たちは氏の諸論考から学ぶだけでなく、何よりもその学問的姿勢を継承しなければならないはずだ。(「解説」より抜粋)
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※本書の「解説」は、2001年に法藏館より刊行いたしました『増補新版 王法と仏法:中世史の構図』に収録の「解題」をもとに、近年の議論を踏まえ、大幅に改訂したものです。
1
顕密体制論の立場ー中世思想史研究の一視点
王法と仏法
愚管抄における政治と歴史認識
日本宗教史上の「神道」
2
「院政期」の表象
軍記物語と武士団
太平記の人間形象
3
楠木正成の死
歴史への悪党の登場
変革期の意識と思想
中世における武勇と安穏
4
「中世」の意味ー社会構成史的考察を中心に
思想史の方法ー研究史からなにを学ぶか
あとがき
成稿一覧
解 説 黒田俊雄氏と顕密体制論(平 雅行)
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