アカデミズム史学の危機と復権

近代日本の歴史研究において、中心的存在であったアカデミズム史学は、いかなる時代状況のなかで生まれたのか。他の学問との競合、研究と教育のジレンマ、国家や社会との緊張関係ー「国体」を正当化することと、「科学」であることという二つの任務を負わされたアカデミズム史学は、南北朝正閏問題という危機を経て、ある結論にいたる。 坪井九馬三、黒板勝美らアカデミズム史学に連なる歴史家たちの実践から、無思想ともみなされてきた存在の思想性に迫る。 序　章 第一章　アカデミズム史学の成立ーナショナリズムと純正史学ー 第二章　「純正史学」の組織化ー学会の設立と地方史学ー　 第三章　南北朝正閏問題をめぐる論理ー歴史観と道徳論の相克ー 第四章　アカデミズム史学の危機と復権ー南朝正統論への転換がもたらした歴史学の自立ー 第五章　黒板勝美の通史叙述 第六章　アカデミズム史学と歴史意識の近代 終　章