資産家資本主義の生成

▼近代日本の資本主義成立に果たした地方資産家の役割とは 事業家・企業家・投資家として財や資金の循環を担った地方資産家たちの姿を 経済統計や各社の決算書類、家内文書などの膨大な資料をもとに描き出し、 成立期日本の資本主義社会が「資産家資本主義」と言える性格を持っていたことを実証的に解明する。 序章　近代日本の資本主義 　一　問題の所在と研究史ーー投資家社会の視点 　二　有力資産家の有価証券投資概観 　三　本書の構成ー段階的変化と業種による差異 第1部　関西地域の会社設立と地方資産家 　　序　大阪府の工業化と会社設立の特徴 第1章　近代大阪金融市場と銀行資産家ーー逸身佐兵衛・佐一郎家を事例として 　一　逸身銀行設立前後の逸身家 　二　尼崎紡績会社の創立と逸身銀行 　三　20世紀初頭の恐慌と逸身銀行の破綻 第2章　奈良県林業資産家と産地銀行ーー永田藤兵衛家を事例として 　一　吉野銀行の概観 　二　吉野銀行と永田家 　三　20世紀初頭の吉野銀行の経営展開 第3章　大阪府商業資産家の銀行借入と株式投資ーー廣海惣太郎家を事例として 　一　廣海家の概要と銀行借入動向 　二　三十四銀行と廣海家 　三　貝塚銀行と廣海家 第2部　東海地域の会社設立と地方資産家 　　序　愛知県の工業化と会社設立の特徴 第4章　近代名古屋における会社設立と有力資産家ーー鈴木総兵衛家を事例として 　一　鈴木総兵衛家と材総店の店卸 　二　鈴木総兵衛家と名古屋の会社設立 　三　名古屋の資産家と会社設立 第5章　近代名古屋における肥料商の事業展開ーー高松定一家を事例として 　一　川筋肥料商の概観 　二　師定商店高松家の経営展開 　三　川筋肥料商と名古屋経済 第6章　愛知県知多郡における会社設立と地方事業家ーー小栗三郎家を事例として 　一　知多郡の地域経済 　二　亀崎銀行・知多紡績と小栗三郎家 　三　小栗冨治郎家と井口半兵衛家の事業展開 　四　1907年恐慌と知多郡の地方事業家 第3部　関東・東北地域の会社設立と地方資産家 　　序　東京府・東北地域の工業化と会社設立の特徴 第7章　近代東京醤油市場の展開と醸造家ーー高梨仁三郎店を事例として 　一　高梨（近江屋）仁三郎店の経営展開 　二　東京醤油会社と野田醤油醸造家 　三　東京における醸造家の企業家活動 第8章　千葉県醸造資産家と産地銀行ーー高梨兵左衛門家を事例として 　一　高梨家の有価証券投資概観 　二　高梨家と野田商誘銀行 　三　野田醤油醸造業の近代化 第9章　青森県銀行資産家と地域金融市場ーー野村治三郎家を事例として 　一　野村治三郎家の概観 　二　上北銀行の経営展開 　三　野村銀行の経営展開 　四　野村治三郎家の個人金融業 終章　総括と展望 　一　近代日本の資本市場と金融 　二　資産家資本主義と地方事業家 　三　地方資産家と地域の工業化