研究叢書536　日本語の歴史的対照文法

「歴史的対照文法」の方法と実際を示す 本書には、課題と方法、述語、連体・連用、指示・情報、疑問・確認、丁寧語の6分野13編の研究論文を収めた。対照するときの一方の言語は基本的に現代の日本語であり、もう一方はさまざまな時代の日本語である。対照研究によって初めて明らかにされる各時代の文法、とりわけ現代日本語文法の姿を知ることは、文法研究の可能性を広げるものであり、文法史研究者のみならず、現代日本語文法、方言文法の研究者にも必読の書となろう。詳細な索引付。 本書の目的と概要　野田尚史・小田勝 第1部 対照文法の課題と方法 　 　日本語の歴史的対照文法の成果と課題　小田勝 　対照文法の領分　大木一夫 第2部 述語の対照文法 　「可能」「自発」の歴史的対照ー「る・らる」と「可能動詞・られる」-吉田永弘 　「連体「なり」」の機能をどう捉えるかー「のだ」との用法比較を通してー　　高山善行 第3部　連体・連用の対照文法 　副助詞のノ連体用法の史的展開　宮地朝子 　副詞から見た古代語と近代語　川瀬卓 第4部 指示・情報の対照文法　 　日本語指示詞の指示の変容ー聞き手の存在と結びついた「そ」-　藤本真理子 　主語焦点構文における平安時代語と京都市方言の対照研究ー古代語の文法にひそむ多様性を見出していくためにー　竹内史郎 　現代語と古代語の「係り結び」-焦点表示機能と主題表示機能を視野に入れてー　野田尚史 第5部 疑問・確認の対照文法　 　話し手の行為について問う文ー疑問文の歴史的対照の試みー　林淳子 　確認の終助詞の歴史的対照ー現代語の「ね」と中古和文の「な」-　富岡宏太 第6部 丁寧語の対照文法 　現代日本語の「です・ます」と中世前期日本語の「候ふ」の異なりー「丁寧語不使用」の観点からー　福嶋健伸 　近世後期洒落本の丁寧語の運用ー現代の談話資料との対照ー　森勇太 索引