中世禅への新視角

本叢刊で初めて明らかにされた中世禅の性格を解説する論文18編、関連資料翻刻3点により構成。本巻責任編集ー阿部泰郎・末木文美士。 ◎ 目次 はじめに 序章 『中世禅籍叢刊』と中世禅研究の諸問題・・・末木文美士 【参考】 真福寺所蔵『釈摩訶衍論見聞』書誌情報・・・亀山隆彦 1　日本禅の形成と寺院ネットワーク 第1章 鎌倉時代の坐禅観についてー『中世禅籍叢刊』を手がかりとしてー・・・石井修道 第2章 鎌倉時代後期の南都北嶺と禅宗・・・原田正俊 第3章 真福寺と尾張地域の寺院ー大須文庫所蔵無住関連聖教の伝来についてー・・・三好俊徳 2　達磨宗と能忍 第4章 再び「達磨宗」についてー『天台一宗超過達磨章』に基づいてー・・・古瀬珠水 第5章 禅宗の展開と『禅家説』・・・和田有希子 第6章 称名寺本『坐禅義』再考・・・道津綾乃 3　栄西とその門下 第7章 上厠法・登溷式についてー『胎口決』「上厠作法」と諸清規にみられる真言の受容ー・・・尾崎正善 第8章 九州における栄西門流の形成・展開ー禅宗形成史再考ー・・・米田真理子 4　聖一派と癡兀大慧 第9章 聖一派における仏身論の展開ー教理書と印信のあいだー・・・菊地大樹 第10章 癡兀大慧の心識説ー『菩提心論随文正決』の理解を中心にー・・・亀山隆彦 第11章 癡兀大慧の禅密思想ー「有覚門・無覚門」を中心にー・・・加藤みち子 5　中世禅の広がりと展望 第12章 金沢文庫管理『禅門詩文集』の本態・・・高橋秀榮 第13章 『教月要文集』の思想ー『宗鏡録』の一心依用の観点からー・・・高柳さつき 第14章 心地覚心は異端的存在か・・・常磐井慈裕 第15章 「以心伝心」と密教灌頂ー宝蓮筆『瑜伽伝心鈔』にみられるレトリックを中心にー・・・ガエタン・ラポー 第16章 脱鎌倉禅？-純粋禅と大燈派についての一考察ー・・・ディディエ・ダヴァン 終　章　　宗教テクスト遺産としての寺院聖教典籍の再発見ー『中世禅籍叢刊』が開示した中世禅の真面目ー・・・阿部泰郎 付篇　資料翻刻篇 叡山文庫蔵（真如蔵）『天台一宗超過達磨章』翻刻・・・古瀬珠水 東福寺栗棘庵『栗棘庵印信群』翻刻・・・菊地大樹 東福寺栗棘庵『心生滅真如両門図』翻刻・・・菊地大樹