六条藤家歌学書の生成と伝流

藤原顕季を祖とし、平安後期から鎌倉期にかけて、御子左家と並び称された六条藤家。 清輔・顕昭ら、稀代の歌学者を擁したその和歌の家の学問は、どのように伝えられ、広がっていったのか。 著作の生成、他者による編集、書写者たちの改変…。行為の連続体である現存諸本におけるさまざまな現象に着目し、知の生成・流通・受容・再生産の過程で起こる諸現象を動的に捉え、文化史上に位置付ける。 はじめに 第一部　動態としての諸本論 　第一章　通読する歌学書、検索する歌学書 　第二章　大東急記念文庫本『奥義抄』上巻の情報構造ー歌学書の割付を中心にー 　第三章　『奥義抄』諸本の書写形態ー散文的項目を中心にー 　第四章　『和歌初学抄』の書面遷移ー項目配置と享受ー 第二部　院政期における歌学の展開 　第一章　『和歌初学抄』の構想ー修辞項目を中心にー 　第二章　『和歌初学抄』所名注記の検討ー歌枕と修辞技法ー　　　 　第三章　歌学としての誹諧歌 　第四章　藤原清輔著述の作者名表記ー無名と読人しらずの使い分けを中心にー 　第五章　『和歌一字抄』の注記をめぐってー内閣文庫本を中心にー 第三部　院政期の諸文化と歌学 　第一章　藤原顕方ー六条家歌人の一側面ー 　第二章　『重家集』考ー守覚法親王との関わりを中心にー 　第三章　『今鏡』における源有仁家の描き方ー鎖連歌記事とその情報源ー 　第四章　和歌の師弟関係の成立ー平安末期における芸能と和歌の地位ー 第四部　古典文化を検索する 　第一章　清原宣賢『詞源略注』『詞源要略』から見る顕昭『後撰集注』の逸文 　第二章　宮内庁書陵部蔵『類標』をめぐってー近世における索引の登場とその思想ー おわりに 初出一覧 あとがき 図版一覧 索　引