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出版社:白水社
出版日:2015年08月08日頃
ISBN10:4560084505
ISBN13:9784560084502
販売価格:3,080円
美術、音楽、文学 交差する人間模様
ルノワールの《ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》(オランジュリー美術館蔵)は、おそらく誰もが一度は目にしたことのある絵画であろう。絵のモデルは、パリの資産家アンリ・ルロルの二人の娘。姉妹の父ルロルは、同時代の芸術家たちに理解を示しながら、財を活かして作品の収集に力を入れていた。ルロル家のサロンは新進気鋭の芸術家や作家が集う社交場で、美しい姉妹は彼らのミューズだった。ドガ、ルノワール、ドニは二人をモデルに絵を描き、ドビュッシーは曲を捧げた。音楽家ショーソンは母方の義理叔父、ジッドやヴァレリーなど小説家たちもやってきた。それは、ルノワールの作品そのもの、「幸福」を絵に描いたかのような日々だった。
強い絆で結ばれていた姉妹は、ドガの紹介で、実業家でコレクターのルアール家の兄弟にそろって嫁ぐ。その結婚生活は幸せであるはずだった。しかし、そこで待っていた運命は……。
美術、音楽、文学のジャンルを超え、そうそうたる人物が次々に登場。人間味にあふれ、ときにスキャンダラスな展開は、読み手を一気に十九世紀末パリに誘うに違いない。
1.数奇な運命をたどった一枚の絵
2.ルロル姉妹 --芸術のなかで育った二人
3.アンリ・ルロル --絵画と音楽の接点
4.クロード・ドビュッシー --ピアノとスキャンダル
5.エルネスト・ショーソン --メランコリーの響き
6.アルチュール・フォンテーヌ --労働と信仰
7.オーギュスト・ルノワール --あふれる色彩と光
8.アンリ・ルアールとドガ
9.ウジェーヌ・ルアールとジッド --イヴォンヌの夫の二面性
10.ルイ・ルアール --クリスティーヌと嫌われ者の夫
11.不幸のはじまり --ショーソンの死
12.夫婦生活の試練
13.ドレフュス事件
14.マリー・フォンテーヌ --女神の反抗
15.夫婦の不幸、それぞれのかたち
16.オークション --長老ルアールの死
17.クローデルとヴァレリー --戦時下の詩人たち
18.姉妹のその後
19.古き良き時代の終わり
20.オランジュリー美術館の誕生
訳者あとがき/家系図/主な登場人物
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