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外国語を身につけるための日本語レッスン

著者:三森ゆりか
出版社:白水社
出版日:2003年10月
ISBN10:4560049882
ISBN13:9784560049884
販売価格:1,650円
本来、言葉を本当の意味で使いこなすためには技術が必要です。欧米ではこの技術を言語技術と呼び、教育課程の中で指導します。言語技術は、国語ばかりでなく、外国語の授業にも応用されます。国語も外国語もどちらも言語であり、言語である以上、その運用技術は普遍的だと考えられているからです。外国語を学ぶとき、日本語でまず言語技術を学ぶことが、外国語を習得するための近道になります。なぜなら、母語である日本語でできないことは、外国語でも決してできるようにはならないからです。外国語の達人になるためには、まずは日本語の達人になる必要があるのです。       *     *  国語教育で表現技術を学ばないことが実際にどのような弊害を引き起こすのか、私がこれまで観察したり、体験したりしたなかから、(1)説明の技術、(2)描写の技術、(3)明確に言う技術、(4)質問の技術、(5)返答の技術、(6)分析の技術など、六つの技術について、具体的な例を提示していきます。ここに挙げた例を通して、皆さん自身の体験を振り返り、母語である日本語でどのような表現技術を学ぶ必要があるのか、考えてみてください。       *     *  (6) 分析の技術ーー対象を分析的・批判的に切り取る (…)日本社会では、見たり、聴いたり、読んだりしたことについて、印象や感想を求められることはあっても、そうしたことに対して自分なりの批評を求められることは滅多にありません。それは批評家の仕事であって、一般人は、「良かった!」「素晴らしかった!」「感動した!」と感嘆詞を並べられれば十分です。(…)日本の文化では多くを語らないことが美徳とされてきました。とりわけ、個人の心の中にある感動を無理矢理に言語化させるなどという無粋なことはしてはならないことでした。ところが、ヨーロッパ人、そしておそらくはアメリカ人に対しても、この感覚は通用しません。ヨーロッパ人と映画などを観に行って、うっかり「良かった。最高だ!」などと言葉を発すれば、(…)たちまち「どこが良かったの? どのように良かったと君は感じるの?」と畳みかけられることになるでしょう。ところで、あなたはこうした問いかけに答えることができるでしょうか。例えば英語では無理でも、少なくとも日本語ではいかがでしょうか。  実はこうした問いかけに答えられるかどうかが、外国語でコミュニケーションできるかどうかの大切な鍵になります。こうした問いに答えるためには、対象を分析的に切り取る能力が必要になります。つまり、対象をぼんやり眺め、心で何となく感受するだけでなく、同時に頭も働かせて、なぜ自分がそのように感じるのだろうか、どの部分に対してそのように感じるのだろうかと分析して、その理由を探し出す必要があるのです。欧米人が対象を分析的に切り取れるのには理由があります。幼いときからそのように思考するように働きかけられてきた、というだけでなく、彼らは主に国語の授業で文章の読解を学ぶ過程で、テクストを分析し、解釈し、批判的に検討する技術を学んでいるのです。 (『外国語を身につけるための日本語レッスン』より)
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