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出版社:アジア経済研究所
出版日:2019年04月02日頃
ISBN10:4258046396
ISBN13:9784258046393
販売価格:3,960円
本書では、馬英九政権の8年間(2008〜2016年)に着目して、中台関係のダイナミズムと台湾の政治・経済の変動を分析した。馬英九政権は、民進党の陳水扁政権(2000〜2008年)からの政権交代によって成立し、急ピッチで中国との関係改善を果たしたものの、2014年の「ひまわり学生運動」によって打撃を受け、2016年の総統選挙では、民進党・蔡英文政権に政権の座を譲り渡した。馬英九政権の8年の歩みには、中国との安定的な関係を求める台湾の人びとの声と、中国による併呑を断固として拒むアイデンティティのせめぎあいが色濃く反映されている。本書では、この時期の分析を通じて、中台関係のダイナミクスと台湾の政治・経済の動きの相互作用を分析する。
まえがき
序章 中台関係のダイナミズムと台湾の政治経済変動 川上 桃子・松本 はる香
はじめにー本書のねらいー
第1節 中台関係の歴史的背景ー馬英九政権の歴史的文脈ー
第2節 馬英九政権期を論じることの意義
第3節 本書の構成
第1章 「両岸三党」政治とクライアンテリズムー中国の影響力メカニズムの比較政治学的分析ー 松本 充豊
はじめに
第1節 分析枠組み
第2節 「両岸クライアンテリズム」と国共両党
第3節 台商への利益分配
第4節 台商の行動への監視
第5節 中国の影響力行使と台湾の選挙
おわりに
第2章 「恵台政策」のポリティカル・エコノミー 川上 桃子
はじめに
第1節 分析視点
第2節 中国による「ビジネスをもって政治を囲う」戦略の展開過程
第3節 事例分析ー台湾産農水産物の優遇策と台湾への観光客の送り出しー
むすび
第3章 馬英九政権期における中台関係の緊密化と台湾の安全保障ー平和協議と台湾海峡の「現状維持」をめぐる問題ー 松本 はる香
はじめに
第1節 準公式的な中台交流の再開
第2節 中台関係の緊密化をめぐる中国側の立場
第3節 中台関係の緊密化と台湾をめぐる安全保障問題
第4節 馬英九再選後の中台関係
第5節 台湾海峡の「現状維持」と中台の軍事バランス
おわりに
第4章 馬英九政権期における台湾経済のグローバル化の特徴と影響ー陳水扁政権期との比較分析を通じてー 赤羽 淳
はじめに
第1節 先行研究のサーベイと本章の分析視点
第2節 馬英九政権期における経済政策と台湾経済
第3節 対中輸出競争力の検証
第4節 対外投資と台湾経済の関係
おわりに
第5章 台湾の若者の職業選択と中台関係ー若者は高給を求めて中国に向かうのかー 佐藤 幸人
はじめに
第1節 研究の位置づけと課題
第2節 「パンと愛情」と海外就業の現在
第3節 台湾の若者は中国で働くことを望むのかー学生との議論からー
おわりに
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