町並み保存運動の論理と帰結

日本における歴史的景観保存運動のさきがけとなった小樽運河．当事者たちの語りを丹念に追いつつ，開発がある種の必然でもあった都市の社会史，住民たちの語りが共同性を得てゆくプロセス，今日に至る観光都市化のアンビバレンツをも複層的に見つめ，町並み保存の「意味」を問う．著者による33年間のフィールドワークが結実した，圧倒的なモノグラフ． はじめに 第1章　なぜ町並みを保存するのかーー問題の所在と分析の方法 第2章　対象としての歴史的環境ーー町並み保存運動の勃興とその意味 第3章　札幌を恨む都市ーー港湾商業都市・小樽の都市史 第4章　変化の論理ーー小樽市行政にとっての運河問題 第5章　保存の論理ーー保存運動にとっての運河問題 第6章　小樽は何を得て，何を失ったのかーー「ポスト運河論争」期の景観変化 第7章　保存とは変化することである おわりに ［資料篇] 　現地調査実施記録 　小樽運河問題関連年表 　調査対象地区図面 　小樽景観変化定点観測調査・集計一覧 　建物利用状況経年変化調査 WHY PLACE MATTERS: A Sociological Study on a Historic Preservation Movement in Otaru, Japan, 1965-2016 Saburo HORIKAWA