平和学と歴史学

エッリーコ・マラテスタを中心とするイタリア社会主義（アナキズム）史の膨大な史料・文献に基づく緻密な先駆的研究の上に、「構造的暴力」と「積極的平和」、世界システム論、フェミニズム、「萃点の移動」、「40億年の私の生命」、禅の呼吸、エンパワメントとエクスポージャー、ロングハウスデモクラシー、身土不二など、多様な考え方と実践を取り込み構想された平和学の中で、「いまここ」の「方法」としてアナキズムが描き出される。 第一部 　地球市民の平和学 平和の方法としてのアナキズムーーひとつのデッサン　3 地球民主主義の芽　23 地球市民への道　39 エンパワメントとエクスポージャーの平和学　55 もう一つの世界を求めて　79 “平和学”をめざして　101 補遺1 夢ーー少数民族の人権・エコロジーとアナキズム　125 補遺2 ユートピアの実験ーーモンテヴィデオにおける共同体　143 第二部 　ナポリ青年群像ーーエッリーコ・マラテスタ序章 南欧からの手紙　エッリーコ・マラテスタをめぐることどもーー一九七六年夏　ミュンヘンにて　173 一八七一年　ナポリ青年群像ーーエッリーコ・マラテスタ序章　203 ナポリ《ラ・カムパーナ》考（その一）　255 ナポリ《ラ・カムパーナ》考（その二）　291 マテーゼ蜂起（一八七七年）とアンナ・イングレーゼのこと　341 チェルノブイリの年に　355 リビアとイタリア　361 女性・エコロジー・第三世界ーー南・北イタリアからの視点　383 反ファシズム青年群像素描ーー二〇世紀初頭のイタリア文化とグラムシ　399 第一次世界大戦とイタリアの戦後若者文化（一九一八ー一九二〇）　411 ナポリ文書館生活素描　429 マラテスタ研究をめぐる史料状況　素描（一八七一ー一八九一）　461 記憶の場　ヴェントテーネとサント・ステファノ　507 解題 戸田三三冬　その研究の軌跡ーーマラテスタ、アナキズム、そして平和学　　田中ひかる　519 初出一覧　565 戸田三三冬　略歴　568 あとがきに代えて三宅 立　570 索引　i