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出版社:而立書房
出版日:2022年05月12日頃
ISBN10:4880594342
ISBN13:9784880594347
販売価格:2,420円
村上春樹をめぐる、伝説の「ライブ討論会」があった。1992年2月22日、場所は厳冬の高野山宿坊。高度成長とバブルが頂点に達し、右肩下がりの「失われた30年」が始まった。冷戦が終結し、先進国の産業が空洞化し、中国が台頭していく。思考のフレームが溶解していくなか、人々は手探りで、生き方、考え方を模索していた。……村上春樹の小説は、この時代の特別な出来事だ。戦後の日本人が、世界の人びとと、同時代を同じ歩幅で歩んだことを証明するものだった。
まえがき(橋爪大三郎)
●序盤 第一日目・午後
主催者口上(島元健作/岩脇正人)
小説を書けない時代性(小浜逸郎)
切実でないという逆転(橋爪大三郎)
なぜおもしろいと思うか(竹田青嗣)
マクシムとモラルA/モラルB(加藤典洋)
摑みたいという欲望と挫折(竹田)
健康な人間は読む必要がない(橋爪)
『世界の終り…』の終らせ方(小浜/加藤)
三角関係のモラルを避ける(橋爪)
関係をつくる小説ではない(竹田)
リハビリという表現のニュアンス(小浜)
「森」の場面の通俗性(竹田/加藤)
●中盤 第一日目・夜
「反物語」とは何か(小浜/加藤)
欲望論の場所から(竹田)
方法論としてのナルシズム(橋爪)
中間項なき二元論は有効か(小浜)
暗黙のルールが持てない病気(竹田)
国家を悪と思わない(加藤)
宗教的信念としての「国家死滅」(橋爪)
欲望の自己中心性と超越的モラル(竹田)
吉本隆明の立論の弱点
なぜ「反スタ」と言わないのか(瀬尾)
憲法九条を持ち出す根拠とは(加藤/小浜/竹田)
戦後社会のからくり(橋爪)
●真夜中編 第二日目
エロスとモラルの関係再考(小浜/竹田)
マクシムをつかんだ村上(加藤)
世界的普遍性と日本的特殊性
切実さとは何か
天安門事件をめぐって
全共闘世代という括りは有効か
若い世代の閉塞感
作品の中の新しい要素(小浜)
世代の断絶はあるのか
言葉への不信と信頼
●夜明けまで
自由に欲望を追求する(竹田)
欲望とルールの関係(橋爪/竹田)
吉本幻想論の組み替え(小浜/橋爪)
逆立テーゼを近代国家に限定する(竹田)
湾岸戦争について(橋爪)
国際法はルールか(瀬尾)
日本国家の組み替え(橋爪)
“そのためにはどうするんだ”(加藤)
初期条件を無化する(橋爪)
近代の原理か、マクシムか
初期条件の無化と家族論
性差の問題
イノセンス論
差別と少数者抑圧
村上春樹と男の責任
作者/書き手/主人公(加藤)
フェミニズム再論
欲望の原理(竹田)
この本の成り立ちについて(森ひろし)
主催者より(島元健作・岩脇正人)
資料編
あとがき(瀬尾育生)
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