私は小説である

「こんなことさえも小説には可能なのだということ、それだけが、ほんとうに重要なことなのだ。」 サミュエル・ベケットに始まり、小島信夫、小沼丹、保坂和志、大江健三郎、村上春樹、蓮實重彦、円城塔、筒井康隆、磯崎憲一郎、古川日出男、坂口恭平、山下澄人、飴屋法水、そして再びベケットの方へ。「小説の可能性」を酷使／拡張する試みに共振する、『あなたは今、この文章を読んでいる。』『新しい小説のために』に続く小説論。装丁はいま注目を集める制作集団「いぬのせなか座」の山本浩貴＋h。 　はじめに 1.　事実 小島信夫の／とベケット 反実仮想のかなしみとよろこびーー小島信夫の／とベケット2 「自然成長性」にかんするメモーー小島信夫『別れる理由』 不可逆性と運命 おわりなきおわりのはじまりーー小島信夫『公園／卒業式』 慟哭と吃驚ーー小島信夫と小沼丹 想い出すことなどーー小沼丹『藁屋根』 慕情と追憶ーー小沼丹『お下げ髪の詩人』 「あなた」のための音楽ーー保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』 2.　虚構 大江健三郎VS村上春樹 凡庸ならざる肖像画家の肖像ーー村上春樹『騎士団長殺し』 小説家蓮實重彦、一、二、三、四、 3．　小説 序章と終章と文字 筒井康隆は「パラフィクション」を書いたのか？ 三つの「小説」について 死んで いる者たち 　おわりに