吉屋信子

一作家としての屹立 戦前の少女小説家の代表者である吉屋信子。しかし、彼女の文学世界はそこのみにとどまるものではなかった。 童話、少女小説、大衆小説、評伝小説と、領域を横断しながら描き出された多彩な作品を、丹念な書誌研究をもとに読み解く。 はじめに 1　童話・少女小説 第一章　吉屋信子、その〈少女性〉--童話から少女小説へ 第二章　『花物語』における少女たちの裏切りーー「睡蓮」論 第三章　〈競い合う少女〉たちーー『少女倶楽部』における運動小説について 第四章　『花物語』の終焉ーー「薊の花」論 第五章　母からの離脱ーー『からたちの花』論 2　大衆小説 第六章　遍歴する女と三人の男たちーー『良人の貞操』論 第七章　まなざされるボルネオーー『新しき日』における『風下の国』の意味 3　戦後ーー大衆小説・評伝小説 第八章　変転する〈母〉の物語ーー『安宅家の人々』論 第九章　歴史小説への紐帯ーー『香取夫人の生涯』論 4　吉屋信子研究の現在とその展望 吉屋信子作品年表