帝国と文化

シェイクスピア、アントニオ・ネグリの戯曲から、サイバーパンク映画、長崎の南蛮文化、朝鮮の女性教師、イギリスの児童文学まで、「帝国」概念を鍵に、領域を越えて広がる文化の諸相を探る。 序章：大帝国前夜ードクター・ジョンソンとフレンチ・インディアン戦争【江藤秀一】 第1部：演劇・音楽 第1章：シェイクスピア『テンペスト』と「帝国」-「交換様式」の視点から【山木聖史】 第2章：スウィングする帝国ーブラック・パシフィックと第二次大戦前夜の『ミカド』【竹谷悦子】 第3章：帝国における音のスペクタクルー聴覚と視覚のネクサス、デリーとロンドン、1911-12年【ティム・バリンジャー（訳：長谷部寿女士）】 第4章：総統の劇場ーナチ期のザールブリュッケンとその劇場【江藤光紀】 第5章：核と帝国主義ーオーストラリア先住民演劇『ナパジ・ナパジ』【一谷智子】 第6章：〈帝国〉の時代を生きるーアントニオ・ネグリと「マルチチュード」の演劇【堀真理子】 第2部：絵画・映画 第1章：ジョン・ロックウッド・キプリングとインドのクラフツマンシップ【山口恵理子】 第2章：動物と帝国ーディズニーと野生のファンタジーの行方【清水知子】 第3章：『第9地区』、あるいはヨハネスブルクのロー・テクたち【巽孝之（訳：三添篤郎）】 第3部：アジア・アフリカ 第1章：南蛮文化と帝国主義【鈴木章能】 第2章：帝国の女教師たちー朝鮮で教えた女教師たち【朴宣美】 第3章：然り、われ速やかに到らん！-『ジェイン・エア』における宣教と帝国主義【向井秀忠】 第4章：ハリエット・マーティノーの『シナモンと真珠』は帝国の物語かー『経済学例解』と植民地貿易【松本三枝子】 第5章：英領インドにおける母(ハウス・マザー)の身体【中田元子】 第6章：アーレントの帝国主義論と『闇の奥』【対馬美千子】 第7章：〈文明化〉の病としての神経衰弱ー漱石の『それから』とギルマンの「黄色い壁紙」を中心に【仙葉豊】 第4部：出版・児童文学・伝記 第1章：「買うべきか、借りるべきか、それが問題」-十八世紀イギリス出版文化の諸相【井石哲也】 第2章：児童文学と帝国ー児童文学黄金時代の背景【安藤聡】 第3章：大英帝国とラフカディオ・ハーンの伝記記述ー英国軍医はイオニアの男に刺されたのか【長岡真吾】