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出版社:北海道大学出版会
出版日:2011年03月10日頃
ISBN10:4832981986
ISBN13:9784832981980
販売価格:19,800円
40年に及ぶ研究成果を,4889枚の走査電顕・透過電顕・光顕写真と,総合的な解説,そして検索表に集大成した関係者待望の大図鑑。これまでの図鑑は,撮影技術上の限界のため花粉のもつ形態上のさまざまな情報を伝えることができなかった。しかし,微細な点まで鮮明に見える本図鑑は,花粉形態学や花粉分析学の研究者はもとより,第四紀学・環境考古学・気候学・環境史学・地質学・植物分類学・生態学・環境科学・医学・生理学などの様々な分野の研究者にとって必携の書である。また従来とは違った視点からの系統分類学への大きな貢献が期待されている。本書は,以下の8つの大きな特徴を持つ。1植物系統分類学の研究者の要望にも応えるために,207科794属1,305種に及ぶ広範な分類群を収録。2現生花粉の走査電顕写真4026枚に,現生花粉の光顕写真416枚などを加え,4889枚の写真を398プレートに収録。3写真プレートは,現生花粉の走査電顕と光顕写真,花粉外壁断面の透過電顕写真,化石花粉の走査電顕写真,花粉症原因植物花粉の光顕写真の5グループに分類して収録。4古環境研究者の要望にも応えるため,第四紀堆績物の花粉分析で産出する主要な化石花粉も収録。5花粉症に関わる人々のために原因植物花粉の光顕写真を収録。6研究目的に応じて使えるように,同じ花粉をアセトリシス法により化学処理したものと無処理のものを撮影収録。7解説は,1和名,2学名,3形態の特徴,4大きさ,5花期,6分布,7採集データ(試料採集場所,採集年月日)を記載。8専門外の方々の引きやすさを考えて,基本外観を図示し特徴をずばり押さえた検索表を収録
●本書を推薦します
「100年後も残る名著」
安田喜憲 国際日本文化研究センター教授・フンボルト大学客員教授・麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授
科学の新たな展開と100年後も残る業績は,研究者のたゆまぬ努力と,真摯でひたむきな自然と人とのかかわりのなかで生まれる。本著は三好教夫博士という一人の研究者が,その40年の研究者人生をかけて集大成した,日本で初めての電子顕微鏡を駆使した花粉図鑑である。研究は一人の力でできるものではない。よき研究協力者とよき後継者にめぐまれてこそ,自らの開拓した研究分野に100年の命が与えられるのである。共著者の藤木利之博士,木村裕子博士は,ともに三好博士の高弟である。
20世紀初頭に,スウェーデンでL.フォン・ポスト博士が花粉分析の手法を開拓してから,G.エルドマン博士(An Introduction to Palynology I, Almqvist & Wiksell 1952)らが花粉形態に注目する植物学的研究を行った。日本では幾瀬マサ博士が『日本植物の花粉』(廣川書店 1956)を刊行した。本著はそうした植物学からの花粉形態研究に,電子顕微鏡による観察を導入したエポックメーキングな金字塔である。それはW.プント博士らが刊行中の北西ヨーロッパの花粉図鑑(The Nor…
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