北西ユーラシアの歴史空間

前近代ロシア世界を、ロシアないしスラブの枠内ではなく、西アジア・地中海世界、中央ユーラシア、スカンディナヴィアなどの史料を通して論ずる意欲的試み。史料論としての立場から、新しい多様で豊かな北西ユーラシア史像を描き出す。 まえがき 序 章 北西ユーラシア歴史空間の射程…小澤 実 第一部 異文化集団との接触（九世紀から一四世紀） 第一章 《総論》統一国家成立までのロシア…宮野 裕 第二章 アラビア語史料に記録された北西ユーラシア世界…家島彦一 ーーとくにイブン・ファドラーン『報告書』によるーー 第三章 キエフ・ルーシ形成期の北西ユーラシア世界とスカンディナヴィア…小澤 実 ーールーン石碑の検討を中心にーー 第四章 ロシア/ビザンツ緩衝地帯の蛮族観について…草生久嗣 ーー一二世紀ビザンツ史書におけるペチェネーグを題材にーー 第五章 コンスタンティノープルのストゥディオス修道院とルーシの修道士…橋川裕之 ーー正教文化の伝播についてーー 第二部 チンギス裔とオスマン朝からの視線（一五世紀から一七世紀） 第六章 《総論》「ロシア帝国」への道のり…濱本真実 第七章 一五世紀ジョチ朝とモスクワの相互認識…川口？司・長峰博之 ーーロシア語訳テュルク語文書を中心にーー 第八章 ペルシア語・チャガタイ語諸史料に見えるモンゴル王統系譜とロシア…赤坂恒明 第九章 オスマン朝におけるヨーロッパ認識の伝統と革新…小笠原弘幸 ーー一七世紀中葉以前の北西ユーラシア観を中心にーー 終 章 ロシア近現代史の視点から…長縄宣博 人名索引 事項索引