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出版社:ひつじ書房
出版日:2022年09月08日頃
ISBN10:4823411625
ISBN13:9784823411625
販売価格:4,400円
小説がフィクションであるとはどういうことか──。分析美学の影響下に、ポスト構造主義以降の文学・芸術理論を形成しつつあるフィクション論。欧米の主要な理論的アプローチを概観しながら日本独自の「フィクショナリティ」を照射し、近現代小説の新たな読みを提案する。巻末に「読書案内」としてフィクション論主要文献リストを付す。
執筆者:高橋幸平、久保昭博、日高佳紀、河田学、大浦康介、黒田大河、中村三春、西田谷洋、服部徹也、飯田祐子、ホルカ・イリナ、山本歩、西川貴子、笹尾佳代、ボーヴィウ・マリ=ノエル
凡例
序ーーフィクション論の地平 高橋幸平・久保昭博・日高佳紀
第1部 フィクション論の争点
フィクションと世界ーー指示の理論と可能世界 河田学・高橋幸平
フィクションの語法ーー虚構性指標をめぐって 久保昭博・日高佳紀
フィクションと社会ーー契約/違反のパラダイム 大浦康介
フィクションの経験ーー認知・情動・没入 久保昭博・高橋幸平
第2部 フィクション論は日本文学をどう読むか
I フィクショナリティの在処
小説の自意識ーー森鴎外とフィクショナリティ 大浦康介
フィクションを生きるためにーー谷崎潤一郎「秘密」のごっこ遊び 高橋幸平
フィクション論として読む「純粋小説論」--『紋章』の「私」と横光利一 黒田大河
〈原稿零枚〉のテクスチュアリティーー小川洋子『原稿零枚日記』と現実性の境界事象 中村三春
II フィクションの作用
フィクションを現実にするときーー桜田百華園「西の洋血潮の暴風」と福島事件 西田谷洋
漱石は猫の後ろに隠れたかーー『吾輩は猫である』における「送籍」問題と倫理 服部徹也
フィクション論における作者と読者ーー松浦理英子『最愛の子ども』 飯田祐子
III 交錯する虚実
モデルとフィクションの問題系ーー島崎藤村「並木」とその周辺 ホルカ・イリナ
フィクション共有の慣習と不成立ーー大泉黒石の〈自叙伝〉と〈小説〉 山本歩
戦略としての「実話」--橘外男「博士デ・ドウニヨールの「診断記録」」に見る仕掛け 西川貴子
虚構契約としての〈手紙〉--小島信夫『菅野満子の手紙』のフィクショナリティ 笹尾佳代
IV リアリズムを超えて
自然主義を超えてーー太宰治「女の決闘」におけるフィクションの理論と実践 久保昭博
大正期視覚メディアとフィクションーー稲垣足穂『一千一秒物語』の言語表象 ボーヴィウ・マリ=ノエル
反リアリズムとしての小説ーー村上春樹『1973年のピンボール』の時間表象とフィクショナリティ 日高佳紀
あとがき
読書案内ーーフィクション論 主要文献 高橋幸平・久保昭博・日高佳紀
執筆者紹介
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