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出版社:京都大学学術出版会
出版日:2019年04月10日頃
ISBN10:4814001924
ISBN13:9784814001927
販売価格:6,820円
ユダヤ人ホロコースト、カンボジアの内戦、日本の植民地支配……歴史的トラウマは語り伝えられ、次世代へ引き継がれていく。研究者たちは、トラウマを精神医学的あるいは心理学的な問題に安易に還元せずに、伝えられる過程へ飛び込み耳を傾けた。経験を乗り越えるためのかすかな光に触れた証言者たちの苦闘。
はじめに
序章 トラウマを共有する [田中雅一・松嶋 健]
第I部 語る・聴く
第1章 トラウマと歓待
--ホロコースト生存者の声を聴くことと当事者性 [小田博志]
第2章 戦争・紛争体験の語りにおける笑いとユーモア [酒井朋子]
第3章 癒えることのない傷の語りに向き合うこと [三田 牧]
第4章 恐怖と屈辱の山渓を越えて
--「インドネシアの歴史的トラウマ」と辺境地個人の経験の語り
[青木恵理子]
第5章 パレスチナ問題における承認と和解
--集合的トラウマをめぐるポリティクス
[マヤ・カハノフ(中屋敷千尋 訳)]
第II部 伝える・戸惑う
第6章 ナショナルな歴史経験とトラウマ
--先住民への謝罪と和解 [窪田幸子]
第7章 日本占領下の記憶とトラウマ
--インドネシア西カリマンタン州における語りと表象
[冨田 暁]
第8章 トラウマの解体に抗して
--在日コリアンのアイデンティティ再構築と拡散 [岡田浩樹]
第9章 自伝的文学から考える加害トラウマ
--ジョージ・オーウェルの場合 [北岡一弘]
第10章 民主カンプチア時代の記憶と死者
--カンボジア北西部村落部の事例から [武田龍樹]
第11章 トラウマ・臨床・和解のプロセス
--ジェノサイドを経験したカンボジア人を事例に [吉田尚史]
第12章 化学兵器をめぐる戦争文化
--一九一五年以降の展開
[アナ・カーデン=コイン(野村亜矢香 訳)]
コラム 「ランペドゥーサの悲劇」後の苦難 [藤原久仁子]
第III部 感染る・継承する
第13章 家族ー国家日本の殖民暴力とトラウマ]
ーー脱殖民化と「他人事でなくなること」 [中村 平]
第14章 原爆・植民地支配・戦後放置
ーー幾重もの「トラウマ」を生きる在韓被爆者 [松田素二]
第15章 コンバット・ストレスの様相
--シェル・ショックから二次トラウマへ [福浦厚子]
第16章 世代横断的トラウマとショアの記憶 [ニコラ・タジャン]
第17章 サバイバーの子どもたちとホロコースト
--ホロコースト博物館展示ガイドへの聞き取り調査から
[兼清順子]
第18章 二次トラウマと感情労働
--アウシュヴィッツのガイドたちの語りをめぐって
[田中雅一]
索 引
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