環境物理学

本書は、これから環境科学を学んでみたいという方を対象に、人間を取り巻く環境の諸問題を、物理学の視点から解説したものである。 　これまで物理学の分野では、環境問題について論じた教科書・参考書がほとんどなく、大学で物理を学んでいる（あるいは学んだ）人たちが環境問題について考えたり、環境問題に取り組む企業で技術者や研究者として活躍するための土台作りとなる書が望まれていた。本書は、基礎的な物理の法則や考え方が、環境とそこに生じる問題の理解にいかに役立つかを示すことに重点を置いたものであり、この分野の基礎書ともいうべき一冊である。 1．物理学と環境科学 　1.1　環境問題と物理学 　1.2　自然環境科学の対象 　1.3　環境問題の特徴 　1.4　種々のスケールと物理量の単位 　演習問題 　参考書 2．保存則と時間発展原理の基礎 　2.1　保存則の表現 　2.2　物質の保存と質量 　2.3　エネルギーの保存 　2.4　時間発展の原理 　演習問題 　参考書 3．環境物理学の道具立て 　3.1　物質の移動 　3.2　反応 　3.3　エネルギーの移動と熱の仕事への変換 　3.4　放射 　演習問題 　参考書 4．地球の大気と熱・温度環境 　4.1　太陽の放射 　4.2　地球のエネルギーバランス 　4.3　温室効果 　4.4　気候変化と地球温暖化 　4.5　大気の鉛直構造 　4.6　大気の鉛直方向の安定性 　4.7　地球大気の構造 　演習問題 　参考書 5．紫外線環境とオゾン層 　5.1　太陽および紫外線の位置づけの変遷 　5.2　紫外線の波長と生物への影響 　5.3　オゾンの生成，消滅と定常的な量 　5.4　光吸収断面積と反応の光量子効率 　5.5　オゾン層破壊の3つの危機とオゾンホール 　5.6　分光学によってオゾン層を測る 　演習問題 　参考書 6．エネルギー 　6.1　いろいろなエネルギーの概観 　6.2　風力発電 　6.3　化石燃料のエネルギーと太陽エネルギーの比較 　6.4　核エネルギー 　演習問題 　参考書 付録 　A1　力学原理と運動量 　A2　統計原理 　参考書