ソール・ベローともう一人の作家

ほかの作家と並置し、ある観点から比較することで 立ちあがるベロー文学の広がりと深さ……。 アメリカ文学史に顔を出す名立たる作家たちの重要作品と 一緒にベローの小説が縦横に論じられていく本書では、 その思わぬ影響関係をもつ文学世界に引きずり込まれてゆく。 現代的問題と文学の癒しが交差するベロー文学論集。 まえがき 第一章　　ソール・ベローとダニエル・デフォー ーー『雨の王ヘンダソン』と『ロビンソン・クルーソー』 （ジャック・ライアン／鈴木 元子訳） 　　　 第二章　　ソール・ベローとスティーヴン・クレインの海 ーー『オーギー・マーチの冒険』第二五章を読む （岡崎 浩） 　　 第三章　　ソール・ベローとジョン・スタインベック ー二人のノーベル賞作家の比較研究事始め （山内 圭） 　 第四章　　ソール・ベローとアイザック・ローゼンフェルド ーー「ゼットランド」と「ソロモン王」 （大工原 ちなみ） 　　　 第五章　　ソール・ベローとラルフ・エリスンの五〇年代 ーー見えない人間を探して （伊達 雅彦） 　　　 第六章　　ソール・ベローとジョナサン・フランゼン ーー『ピューリティ』における反知性主義と共同体 （川村 亜樹） 　 第七章　　ソール・ベローとアルフレッド・アドラー ーーアドラー心理学から考察する『この日をつかめ』 （朴 育美） 　　 第八章　　ソール・ベローの“修復”とジョン・アップダイクの 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　“受容” ーー『サムラー氏の惑星』と『帰ってきたウサギ』を中心に （柏原 和子） 　　 第九章　　ソール・ベローと遠藤周作のホロコーストへの応答 ーー『サムラー氏の惑星』と『沈黙』を中心に （鈴木 元子） 第十章　　ソール・ベローとトニ・モリスンの男性像 ーー『この日をつかめ』と『ソロモンの歌』の “恰好悪い男”比較 （永瀬 美智子） 　　 第十一章　ソール・ベローとグレイス・ペイリー ーー“家”を問う女性たち （相原 優子） 　　　 第十二章　父と息子のニューヨーク物語 ーーベロー、オースター、フォア （坂野 明子） 　　　 第十三章　ソール・ベローとジョナサン・サフラン・フォア ーー“書く”行為がもたらすアイデンティティ （山本 玲奈） 　　 第十四章　ソール・ベローと村上春樹 ーー流浪・修復・自己の掘り下げ （佐川 和茂） あとがき