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出版社:彩流社
出版日:2015年03月25日頃
ISBN10:4779120810
ISBN13:9784779120817
販売価格:3,080円
一橋大学リレー講義「ジェンダーから世界を読む」から、
『ジェンダーと「自由」』に続く第三弾!
第二波フェミニズムの理論の成果が、マイノリティの承認(アイデンティティ)を
進める方向に手を貸したときに、たくさんのマイノリティ、あるいはたくさんの「わたし」が
その存在を認めてもらったが、そのかわりに忘れ去られたのが再分配(経済)の問題だった
ーーナンシー・フレイザーが端的に示しているように、フェミニズムの運動は、
女が一種の階級であるかのように下層に置かれていた現実の変革を目指すべく
始まったものの、各種権利が男と同等のものとして与えられたとき、
実のところその権利が市場への消費者としての参入へと変換され、結果として
新自由主義が生みだしたあらたな経済的格差(再分配)の問題を見えなくしている。
私たちは承認と再分配を並び立たない二律背反の問題として捉える発想に
はまりこんでいるのではないだろうか。
はじめに
第一部 承認と再分配の問題とは何か
第一章 承認論とジェンダー論が交叉するところ(藤野 寛)
第二章 フレイザーとバトラーの「再分配/承認」論争(加藤 泰史)
第三章 ポストフェミニズムと日本社会(菊地 夏野)
-- 女子力・婚活・男女共同参画
第四章 〈分配か承認か〉の手前で(岡野 八代)
-- ケアの倫理からの再考
第五章 分配的正義から交換的正義へ(中山 徹)
-- 「我が家の楽園」としてのコミュニズム
第二部 承認、再分配、そして文化
第六章 「貧困との戦い」の行方(越智 博美)
-- 貧困の文化化とアパラチア
第七章 学習社会とポストフェミニズム(河野 真太郎)
-- 『リタの教育』における終わりなき成長
第八章 シングルマザーが夢見るユートピア(町田 みどり)
-- 『時を飛翔する女』における「家族」のオルタナティヴ
第九章 承認の外へ(井上 間従文)
-- 根間智子と仲宗根香織の写真における「問い」としての沖縄
第十章 フランスの地方美術館による作品収蔵と芸術家の様相(小泉 順也)
-- 印象派とポスト印象派を中心に
第三部 イスラームと女性
第十一章 イスラームと女性の地位(鵜飼 哲)
-- まず、知るべきこと
第十二章 現代フランスにおける「スカーフ論争」とは何なのか(森 千香子)
-- レイシズムと女性の身体をめぐって
第十三章 表象=代表 (representation) 、知識人、教育(中井 亜佐子)
--マララ・ユスフザイの国連スピーチを読む
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