お江戸日本橋（下巻）

天下の金庫番ともいえる勘定奉行・犬塚佐渡守と金座御金改役・後藤庄三郎、そして廻船問屋の長崎屋が共謀する密輸の大悪行。遠山左衛門尉景元の命を授かった江戸兵吾は、野望に満ちた巣窟に深く入り込んだ。陰ながらその奔走ぶりを見ていた大泥棒・鼠小僧次郎吉がいつしか子分となり、また、一途な想いを寄せる旗本娘・美和の存在が心の支柱となって、兵吾は私利私欲を貪る奸物どもを徐々に追いつめる。そんな中、明るみになってゆく兵吾の正体ー。一命に代えて密命を守る、一人の浪人者に隠された意外な出生の秘密が、自らの、そしてともに悪に挑んだ市井の人々の運命を、新たに切り拓いてゆく！時代小説の巨匠、柴田錬三郎が武士の儀を描く超痛快！時代小説。