椿の女

この世の地獄、かー江戸の薬種問屋に押し入った凶賊の犯行跡を見て、定廻り同心斧田晋吾は深ぶかと吐息をもらした。店の主やその家族は無惨に殺され、有り金はすべて持ち去られたが、生き残った女中の話では、賊は顔に役者のような隈取りをしていたという…。一方、磐根藩のお家騒動を収め、平穏な日々をおくる神谷平蔵であったが、ある日、謎の黒衣集団に襲われる。愛刀ソボロ助広を抜きはなち応戦するものの、敵の放った飛刀に平蔵は手傷を負ってしまう。遺恨の鎖を断ち斬り、愛しい女を守るため、医者にして剣客、神谷平蔵が、讐鬼の邪剣に立ち向かう！痛快剣豪小説シリーズ、第５弾。