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出版社:金剛出版
出版日:2018年08月07日頃
ISBN10:4772416390
ISBN13:9784772416399
販売価格:3,080円
なぜ精神医学はかくも強烈な疑念や批判にさらされ、「医学の異端児」とされてきたのか?--
動物磁気を提唱したフランツ・メスマーの空想的理論、昏睡療法やロボトミーなど無謀な治療法、ジークムント・フロイト派の創設と決裂、脳科学研究を開拓したエリック・カンデルによるフロイト派の王位奪還、伝統あるドイツ精神医学のアメリカの精神科医への影響など、神秘的疑似科学として誕生した精神医学が生命を救済する科学=職業として成熟していく足跡をたどる。精神医学に名を残す英雄と偉大な詐欺師の錯綜した物語(ストーリー)、精神医学の光と影を成す歴史秘話(ヒストリー)、精神力動的パラダイム(心の学問)と生物学的パラダイム(脳の科学)との抜き差しならない葛藤と相克、そして1980年の刊行とともに精神医学のパラダイムを一新した『DSM-III』特別委員会委員長ロバート・スピッツァーの行動と思惟が、膨大な文献と個人的体験を交えながら、一般の読者にも読みやすいトーンで語られていく。
だが本書の目的は精神医学のダークストーリーをスキャンダラスに語ることではない。「精神疾患とは何か?」「いかにして精神疾患を診断・治療するのか?」と絶えず真摯に問い、精神疾患を「不幸な心の状態」ではなく「治癒されるべき病い」として描き、精神医学と精神疾患への偏見とスティグマを晴らす使命こそが、本書が見つめる最終目的だ。
アメリカ精神医学会(APA)会長にして全米科学アカデミー医学研究所会員の碩学ジェフリー・A・リーバーマンによる、誰も語らなかった/誰も語れなかった精神医学の真実。
第I部 診断をめぐる物語
01.医学界ののけ者ーーメスメリスト、エイリアニスト、精神分析家
02.迷走の時代へーーシュリンクの台頭
03.精神疾患とは何か?--診断名のるつぼ
04.レンブランツ、ゴヤ、ゴッホを破り捨てるーー精神医学を救った反フロイト派
第II部 治療の物語
05.苦肉の策ーー発熱療法、昏睡療法、ロボトミー
06.母さんの小さな助っ人ーー待望の薬の登場
第III部 生まれ変わった精神医学
07.孤立から脱してーー脳革命
08.兵士の心臓ーー心的外傷の謎
09.多元主義の勝利ーーDSM-5
10.汚名の終焉ーー精神医学の未来
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