中世の春

十二世紀ルネサンスの代表的な知識人、「ソールズベリのジョン」の全体像を明らかにする我が国初の書。教会人にして宮廷官僚も勤めた彼の思想を、「中世の春」と称される時代の状況を背景として論じます。 「中世における最初の暴君殺害容認者」との通説のあるジョンが、実は徳の涵養、中庸の精神、あるべき君主像を説いた人であることを、体系的に解明します。 プロローグー十二世紀＝＜中世の春＞あるいは＜友情の共和国＞ 第1部　文芸思想 第1章　＜巨人の肩の上に乗る矮人＞ 　　　　-ソールズベリのジョンの思想世界ー 第2章　ソールズベリのジョンにおける＜人文主義＞の意味 第2部　政治思想 第3章　『ポリクラティクス』という書物 　　　　-ソールズベリのジョンの政治思想研究序説ー 第4章　ソールズベリのジョンとアリストテレス 　　　　-政治的徳性（virtus）をめぐってー 第5章　ソールズベリのジョンとキケロ 　　　　-理性と言語、社会の起源をめぐってー 第6章　＜国家という身体＞ 　　　　-ソールズベリのジョンの政治社会論ー 第7章　＜血の滴る剣＞ 　　　　-ソールズベリのジョンにおける「教会と国家」 第8章　＜君主の鑑＞ 　　　　-『ポリクラティクス』における君主と暴君ー 第9章　＜陰画としての暴君＞ 　　　　-ソールズベリのジョンの暴君殺害論ー エピローグー十三世紀＝＜中世の夏＞にむかって：あるいは人文主義の終焉？