福澤諭吉を描いた絵師

幕末の激動期に旗本から画家へ転身し、波乱に富んだ生涯を送った川村清雄は、欧米で直接画技を習得した最初期の日本人。幕末から昭和の重要人物と親交をもった清雄を通じて歴史の新たな一面が提示される。 序章　油絵師の問いかけ ＜b＞第一章　旗本の系譜＜/b＞ 江戸二番町生れ 家の記録 旗本の系譜 「私の祖父」修就 絵の手ほどき 駿府落ち ＜b＞第二章　ベネチアに学ぶ＜/b＞ ニューヨークへ パリで学んだもの 三百両を懐にベネチアへ そのころのベネチア アカデミアに学ぶ 紙幣寮御雇 ジャポニズム ＜b＞第三章　帰朝者の笑と涙＜/b＞ 帰朝者の栄光 キヨソネとの確執と恋と 一族の困惑 庇護者・勝海舟 勝邸の画室 勝を介しての知遇 「かたみの直垂」 ＜b＞第四章　江戸への回帰＜/b＞ 本邦初の「個展」 装画と両親の死と 一枚の小品 渡仏した「建国」 「向島の花見」と抱一と 修就と太田南畝 江戸を語る人 ＜b＞第五章　草莽の臣＜/b＞ 絵画館 退屈な画題 「振天府」 天理に死す あとがき 図版リスト