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出版社:岩崎学術出版社
出版日:2012年11月
ISBN10:4753310531
ISBN13:9784753310531
販売価格:3,080円
●心理臨床の主流となりつつある認知療法は,行動療法,さらにその他の学派の要素をも取り込んで発展する可能性を秘めている。本書では日本認知療法学会(2011年)の講演やシンポジウムを中心に,認知療法の現在と未来を考察する。研究から臨床まで,各分野の第一人者によって著された心理臨床家必読の書。
●本書は2011年に開催された第11回日本認知療法学会の講演,シンポジウムを改めて論文にしたものに,書き下ろしの論考を加えたものである。編者はその際の大会長を務め,大会テーマを「日本における認知療法の歴史,現状,未来」とした。日本における認知療法の過去,現在,未来を示す重要論文が著され,この業界を今まさにリードする第一人者を集めて本書を完成することができたと自負している。心理療法によらずおよそ新しい学問を起こしてそれを有効かつ世間に認められるためには,しっかりした理論的基盤と整合性のある技法,それらに根差した有効な実践,そしてそれを確かめる方法としての研究法とエビデンスが不可欠である。本書ではそれらを洩れることなく網羅し,あらゆる側面からその有用性を示したつもりである。それとともに,学問的にも実践的にも絶対的なものから相対的なものへと認識論や価値観が移行している現代において,心理療法も相対化され統合の方向に進行している状況を,認知療法について述べている本書の根底に脈々と論じていることも読み取っていただければ幸いである。(「あとがき」より抜粋)
●目次
まえがき
序章 認知療法の発展に寄せて(大野裕)
1.はじめに
2.3つのレベルのエビデンス
3.おわりに
第I部 総論
はじめに
第1章 統合的方法としての認知療法(東斉彰)
1.心理療法の歴史的概観
2.哲学から見た心理学,心理療法
3.認知療法と他学派との関係
4.心理療法の統合性
5.認知療法の統合的理解
6.まとめにかえて:統合的方法としての認知療法
第II部 理論と研究
はじめに
第2章 認知療法の理論的展開 (井上和臣)
1.歴史・哲学的淵源
2.Beck の着眼
3.サイコセラピーの基準
4.理論・治療の科学的基礎
5.作用機序
6.受容
7.統合の観点
8.治療者論
第3章 パーソナリティ障害に対するスキーマ療法の進歩(ジェフリー・E・ヤング)(監修者:伊藤絵美,翻訳者:佐々木淳)
1.スキーマ療法の定義
2.中心的な前提と幼少期の中核的欲求,大まかな目標
3.基本的なスキーマモデルの特徴
4.より困難な事例と取り組むためのモードアプローチの開発
5.スキーマモードの概念
6.モードアプローチの適用とモード戦略
7.モードに対するスキーマ療法の目標
8.スキーマ療法の無作為化比較研究
9.治療的再養育法
10.例:懲罰的ペアレントモードに対する取り組み
11.スーパーヴィジョンで扱うべきよくある治療者の落とし穴とスキーマ
第4章 認知療法研究における質的研究の役割(岩壁茂)
1.はじめに
2.実証的に支持を得た心理治療
3.ESTs の成功率
4.効果の仕組み
5.変わりゆくエビデンスの定義
6.質的研究
7.質的研究の目的
8.質的研究とパラダイム
9.質的研究のプロセスと方法
10.量的研究と質的研究の「質」
11.認知療法研究における質的研究の役割
12.主観的体験とグラウンデッドセオリー法
13.面接プロセスのモデル化と課題分析
14.研究と実践を結ぶ系統的事例研究
15.おわりに
第III部 臨床
はじめに
第5章 認知行動療法の臨床的発展(伊藤絵美)
1.はじめに:本章のコンセプト
2.認知行動療法の歴史的起源
3.認知行動療法の臨床的展開
4.様々な場での認知行動療法の実践
5.おわりに
第6章 認知療法と治療関係(杉山崇・巣黒慎太郎・佐々木淳・大島郁葉)
1.はじめに
2.治療関係と認知療法
3.事例
4.総合考察
第7章 感情調節困難の認知行動療法ー日本でのBPD などの支援の可能性(遊佐安一郎・坂野雄二・伊藤絵美・井上和臣・熊野宏昭)
1.はじめに
2.弁証法的行動療法
3.スキーマ療法
4.討論
終章 認知療法のこれから(東斉彰)
あとがき/索引
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