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出版社:岩崎学術出版社
出版日:2005年02月
ISBN10:4753305015
ISBN13:9784753305018
販売価格:4,400円
●発達過程にある子どもの精神科臨床はとにかく難しい。とりわけ強迫という症状は,それがあまりに広汎にわたるゆえに,臨床場面における個別対応も相対的な理論化も困難である。本書には様々なアプローチによるナマの臨床が記載され,読者はそれらを俯瞰することで子どもの強迫の全体像を描くことができる。
■解説
強迫性障害は発達障害と違って病態とその症状の中心は成人期の病像である。したがって,児童思春期の強迫性障害を論じるさいには,まず成人期の強迫神経症の精神病理学を極め,その上で強迫性障害における最近の神経病理学的所見を適正なバラ ンスをもって記述することが重要であると考えられる。一方,生物学的精神医学では症状の客観的把握と脳科学的所見が記述される。このさい観察所見の科学性を保証するのが診断基準である。そうであれば両アプローチの適正なバラ ンスとは診断基準を軸に機能を記述することとなる。それはある時には社会的機能であり,ある時には神経生理学的機能である。こう したことが理解された上で,なぜ,児童期や思春期早期に発症したかという環境因的な考察が展開される。これが従来の成書の構成とすれば,本書ではあらたに2つの視点が導入さ れている。1つは発達論であり,もう一つは強迫スペク トラムという捉え方である。本書を通読していただけば,本書が他に類を見ないよう な独自性で貫かれていることがわかると思われ,多くの読者に,広い視点で児童思春期の各病態を読み解く手掛りとして役立たせていただけるのではないだろうか。(「序文」より)
●目次
序文
第1部 子どもの発達の中にみられる強迫
第2部 子どもの強迫症状の臨床的特徴ー強迫性障害を中心に
第3部 強迫症状とその周辺
第4部 強迫性障害とは
第1章 強迫性障害の歴史と診断ーー強迫神経症と強迫性障害・診断基準
第2章 強迫性障害の疫学一成人と子ども
第3章 強迫性障害の心理的成因一精神分析的な見方
第4章 強迫性障害の生物的背景
第5章 強迫性障害の生理学と画像診断
第6章 強迫性障害の心理検査
第7章 強迫スペクトラムとは?
第5部 強迫症状に対する治療と対応
第1章 強迫的な子どもたちとの外来面接
第2章 行動療法(認知行動療法)
第3章 薬物療法
第4章 親への対応
第5章 学校への対応
第6部 児童思春期の強迫の臨床
第1章 子どもの強迫性障害と強迫症状
第2章 広汎性発達障害と強迫
第3章 注意欠陥多動性障害ーーこだわりと衝動
第4章 チックーー反復衝動性と強迫
第5章 神経症性習癖
第6章 子どもの気分障害ーー不安と強迫
第7章 子どもの統合失調症
第8章 摂食障害一体重へのこだわりと強迫
第9章 醜形恐怖と強迫ーー身体へのこだわり
第10章 心気と強迫
第11章 離人症と強迫
第7部 強迫と現代文化ーーこれから育っていく子どもたちのために
あとがき
人名索引/事項索引
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