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出版社:明石書店
出版日:2021年11月12日頃
ISBN10:4750352675
ISBN13:9784750352671
販売価格:3,300円
疫病は人間社会の実像を映し出す鏡だ。それは個々の生を揺るがし、宗教への懐疑や哲学の刷新を促してきた。上巻ではペスト、天然痘、コレラなどの流行の実態と、ある「英雄」の見込み違いが招いた惨事、そして細菌の発見がもたらした劇的な転機を描く。
まえがき
新版まえがき
第1章 はじめに
第2章 体液理論による医学ーーヒポクラテスとガレノスの遺産
病気は神の業である
病気は悪霊の仕業である
ヒポクラテスの革新
体液理論の医学哲学
ガレノスとテキスト偏重
体液理論の残したもの
神殿医療
まとめ
第3章 ペスト、三度のパンデミックーー五四一年〜一九五〇年ごろ
ペストと公衆衛生
ペストの影響
三度のパンデミック
第4章 ペストという病気
ペストの病因
症状と治療
ペストの病型
まとめ
第5章 ペストへの対応
市民の自発的な対応
公衆衛生対策
評価
第6章 エドワード・ジェンナー以前の天然痘
感染症を比較する
ウイルス性疾患
伝播
症状
治療
第7章 天然痘の歴史への影響
ヨーロッパの天然痘
アメリカの天然痘
天然痘と公衆衛生
第8章 戦争と疾病1--ナポレオンと黄熱とハイチ革命
サン・ドマング
「苦い砂糖」
社会の緊張
奴隷反乱と黒いスパルタクス
奴隷制回復をねらうナポレオンの戦い
フランス軍の壊滅
まとめ
第9章 戦争と疾病2--一八一二年のロシア、ナポレオンと赤痢と発疹チフス
ニエーメン渡河
ロシアの奥へ
赤痢
ボロジノの戦い
モスクワで
敗走
発疹チフス
まとめ
第10章 パリ臨床学派
体液病理説の危機ーーパラケルスス
正統医学への科学からの異論
パリの知識革命の背景
パリ病院学派の活動
第11章 衛生改革運動
パリの衛生学
エドウィン・チャドウィックと救貧法改正
病気の不衛生環境説ーートマス・サウスウッド・スミス
衛生報告書(一八四二年)
衛生改革運動
衛生設備の健康への効果
衛生思想と芸術
衛生観念の高まりが公衆衛生に残したもの
第12章 細菌病原説
思想と組織の基盤ーーパリの病院医学からドイツの研究室医学へ
技術の基盤ーー顕微鏡と「アニマルクル」
著名な三人ーーパスツール、コッホ、リスター
「研究室医学」と専門職としての医師
細菌説の家庭生活への影響
まとめ
第13章 コレラ
病因、症状、芸術への影響
治療
疫学とナポリの例
コレラの恐怖ーー社会の緊張と階級対立
公衆衛生とコレラーー都市の改造
新たな生物型(バイオタイプ)--エルトール型コレラ菌
第七次パンデミックの発生
リタ・コルウェルとコレラの環境病原巣の発見
ペルーにおける現代のコレラ
二〇一〇年以降のハイチ
註
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