流行歌の誕生（304）

大正初期に空前の大ヒットとなり?現代流行歌の元祖?とされる「カチューシャの唄」。歌ったのはスター女優松井須磨子、恋愛関係にあった島村抱月の芸術座の舞台だった。すぐに人々に広まり、地方巡業やレコード・映画などの新しいメディアによって、流行はさらに加速度を増してゆく。流行歌が生まれる過程と、歌に熱狂する人々の姿を鮮やかに描く。 松井須磨子の歌声ープロローグ／「カチューシャの唄」の誕生（劇中歌という仕掛け／帝国劇場から流行歌誕生）／「カチューシャの唄」の流行過程とメディア（一ー二週間で流行発生／レコードによる流行拡大／学生生徒と演歌師ー流行の担い手／映画化による後追い効果）／地方巡業と唄の再発見（芸術座の地方巡業経路／観客としての都市中産階層／巡業による唄の再発見／「カチューシャ裁判」）以下細目略／〈歌う文化〉と流行歌の近代／抱月・須磨子の急死ーエピローグ