金沢貞顕

鎌倉時代末期の政治家。霜月騒動に連座して不遇の幼少期をおくるが、得宗家の信頼を得て六波羅探題・連署となり、病弱な執権北条高時を支えた。十五代執権に就任するが、政争の激化により辞任、幕府の滅亡に殉じた。膨大な貞顕書状から、高時政権を再評価し、称名寺造営や金沢文庫本の充実から、鎌倉の武家文化に足跡を残した権力者の実像に迫る。 はじめに／貞顕誕生（金沢の家名と家族／祖父実時／父顕時／妻と子／北条実時所持本『源氏物語』／金沢家の学問）／六波羅探題南方時代（上洛／在京の日々／嘉元の乱／ひとときの静けさ／春日神木入洛／称名寺長老釼阿／六波羅探題南方時代の金沢文庫本収集）／引付三番頭人から六波羅探題北方へ（引付三番頭人／六波羅探題北方就任と御所闘乱事件／新日吉社闘乱事件）／北条高時政権の連署として（北条高時の執権就任／従四位下昇進／文保の和談／称名寺の造営／園城寺戒壇問題／貞顕と永嘉門院）／動乱のはじまり（貞将上洛／嘉暦の騒動／子供たちの栄達／皇位継承問題再燃／常在光院修造／金沢氏と兼好）／滅びゆく人々（元弘の乱のはじまり／貞冬の上洛／後醍醐天皇方の攻勢／鎌倉滅亡／金沢家の最期）／貞顕の被官人（金沢家被官人の構成／富谷左衛門入道／倉栖兼雄／鵜沼氏の人々／向山敦利と向山景定／賀島氏の人々／二宮覚恵／その他の人々／被官人の社会階層）／貞顕の所領（金沢家の所領／武蔵国久良岐郡六浦庄と下総国下河辺庄／下総国印西庄・埴生庄・埴生西条／常陸国茨城北郡と下総国東庄上代郷・加賀国軽海郷・因幡国千土師郷／甲斐国石和庄と八代庄／近江国柏木御厨と伊勢国志摩国守護領／信濃国太田庄大倉郷・石村郷と陸奥国玉造郡／越中国太田保・加賀国山代庄・加賀国菅谷・能登国仏木／丹後国大石庄と出雲国赤江保・周防国竃戸関／伊予国久米郡・野口保／その他の人々の所領／金沢家領の特徴）／貞顕の評価（政治家としての貞顕／称名寺と常在光院／唐物と喫茶／金沢貞顕書状の世界）／金沢氏略系図／略年譜