近世の死と政治文化

将軍・天皇など為政者の死は、幕府・朝廷・藩や社会にどのような影響をもたらしたのか。幕府・藩の「鳴物停止令」と、朝廷の「触穢令」に焦点をあて、その構造と機能を考察する。さらに死の呼称と死者の称号の問題にもおよび、為政者の死をめぐる政治文化の全体構造と、近世的特質を解明。近世の国家史・社会史研究に新たな分析視角を提示する。 序章（本書の課題と構成）／死と音ー幕府・藩の鳴物停止令（江戸幕府鳴物停止令の構造と機能〈はじめに／鳴物停止令の概要／鳴物停止令の展開と都市社会／鳴物停止令の社会的受容／おわりに〉／鳴物停止令と朝廷ー停止令をめぐる朝幕関係〈はじめに／京都における鳴物停止令の概要／京都における鳴物停止令の構造と展開／おわりに〉以下細目略／鳴物停止令と諸藩ー停止令をめぐる幕藩関係）／死と穢ー朝廷の触穢令（朝廷における触穢令の構造と機能／朝廷の触穢令と幕府ー将軍の死をめぐって／朝廷の触穢令と神社ー賀茂別雷神社の場合）／死の呼称ー死と死者の位置づけ（死の呼称とその構造／将軍の院号と朝廷ー死後の称号とその決定問題）／ 終章（総括と課題）／あとがき／索引