飢餓と戦争の戦国を行く

中世社会を頻繁に襲う旱魃・長雨・飢饉・疫病などの災害。さらに物資・人員の略奪や殺害などの戦争被害。過酷な環境で人々はいかに生き抜いたのか。実態を克明に探り、民衆に焦点をあてた豊かな歴史像を提示する。 はしがき／中世の生命維持の習俗（飢饉奴隷の習俗ー飢饉のときの人の売り買い／飢饉出挙の習俗ー泰時伝説の裏に／自然享有の習俗ー山野河海の開放／田麦の習俗ー二毛作の裏に）／応仁の乱の底流に生きるー飢饉難民・徳政一揆・足軽たち（首都を目ざす飢饉難民／首都に迫る徳政一揆／首都を襲う足軽）／戦場の村（飢餓の戦場／村の制札、村の避難所／武装する村・一揆する村／凶作と戦禍を生き抜く）／村の武力と傭兵（ある村の乱世ー駿河の『大平年代記』から／村の禁制と手柄／武装する被差別民／近世の村の武力像）／九州戦場の戦争と平和（九州の平和から日本の平和へ／奴隷狩り・疫病・飢餓／武装し自衛する戦場の村／大名滅亡の惨禍）／中世の女性たちの戦場（はじめにー戦争と女性をどうみるか／中世戦場の女性論によせて／戦場の女性の奴隷狩り／戦場の城に籠る女性たち／奪われた女性たちの行方）／飢饉出挙の伝承ー北条泰時伝・断章／「人間史」の構想ー藤木久志の学問…清水克行