日本の近代化と民衆意識の変容

明治維新と産業革命により生まれた重工業で働く機械工たちに求められたのは、個人労働から集団労働への適応であった。工場規則や労働時間、工場内の人間関係や欠勤などの実態、労働争議、さらに遊興や文化に対する考えにも着目し、機械工たちの意識や感情と行動を分析。民衆史と感性史の方法で、近代化による民衆意識の変化を究明する注目の書。 序章　課題と方法／機械工の群像ー勤続・渡り・独立（「勤続」職工／「渡り」職工／職工から工場経営者へ／職工の価値意識）／工場規則（工場規則の意味／工場労働への不適応／「自由」な行為の希求／工場労働への抵抗／懲戒と職工積立金／三菱長崎造船所の例）／工場の労働（労働時間／工場内の様子／死傷・疾病／欠勤）／工場内の人間関係と人間気質（親方と技師／監督者と情実／職工の気質／商人と職工）／遊興と文化（飲酒／寄席／遊廓と賭博／新聞／宗教と信仰）／労働争議（労働争議の特徴／呉海軍造船廠争議ー一九〇二年／呉海軍工廠争議ー一九〇六年／三菱長崎造船所争議ー一九〇七年／川崎造船所「木工」争議ー一九〇七年／三菱長崎造船所「鉄工」争議ー一九一三年・一四年／三菱長崎造船所争議ー一九一七年）以下細目略／横山源之助・鉄工組合・友愛会／終章　機械工と日本の近代