近代日本における「受験」の成立

「資格」から「選抜」へ。明治前期から後期にかけて、旧制高等学校の入試は、どのような変容を遂げたのか。教育制度の確立により、入試が「資格」を問うものから「選抜」の道具へと変わっていく様相を考察する。また、そのような「選抜」を支えることになる予備校や受験メディア、青年をその世界に送り出す中等教育機関の状況も分析し、私たちが「受験」という言葉からイメージする構図が成立していく様相を明らかにする。 序　章　入学試験の歴史を問う意味 　第1部　学校制度の確立と入学試験ーー「選抜」としての入学試験への変化と選抜秩序の強化 第一章　高等学校の入試制度の変化ーー「資格」から「選抜」へ 第二章　入試問題講評にみる高等学校側の入学試験観の変化ーー変わらない選抜観 　第2部　受験文化の成立ーー「選抜」への対応と適応 第三章　予備校の成立ーー中等教育機関の補完から受験学力の養成へ 第四章　受験メディアと受験生の志望行動ーー「選抜」秩序の内面化 　第3部　中学校補習科における完成教育の模索ーー「選抜」への対抗と中学校の独自性の模索 第五章　補習科関係法令の変遷と実業教育の位置付けーー「選抜」から距離を取る中学校像の模索 第六章　受験準備を目的としない補習科の設置と挫折ーー千葉中学校の実業補習科 終　章　「受験」の成立ーー「創設」の時代から「調整」の時代へ あとがき 参考文献・史料 索　　引