皮膚

皮膚（身体）が文化的構築物であるという観点は、フーコー以来の共通理解となっている。本書はそれを立脚点に、言語、歴史、ジェンダー論、言説分析、精神分析などさまざまな分野と方法論を縦横無尽に動員し、聖書、慣用句、文学作品、芸術論、科学の理論といった言語資料、解剖学図版・模型、絵画や現代アートなどの図像的なものを駆使して、17世紀から現代にいたる皮膚観のパノラマを展開する。 　日本語版への序文 1　表面の深部ーー序論 2　境界のメタファーーー言葉のなかの皮膚 3　侵入ーー医学と文化の実践における身体の境界と知の産物 4　脱皮ーー皮剥ぎ、拷問、メタモルフォーゼ 5　魂の鏡ーーカンヴァスとしての表皮 6　謎となすことーー皮膚の他者性 7　鎧の皮膚と母斑(ムッター・マール)--ある性差のイメージ体系 8　異種の皮膚ーー皮膚の色の科学史および文学史 9　ブラックネスーーアフリカ系アメリカ人の言説における皮膚の色の問題性 10　手と皮膚ーー皮膚感覚の人間学と図像学 11　接触ーーエロティックな、エモーショナルな、〈心的な〉、皮膚感覚の類似性について 12　遠隔触覚(テレタクティリティ)--ニュー・メディアにおける皮膚 13　おわりに 　註記 　訳者あとがき 　文献一覧 　事項索引 　人名索引