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出版社:法政大学出版局
出版日:2021年07月19日頃
ISBN10:4588140639
ISBN13:9784588140631
販売価格:5,170円
二十世紀の歴史に癒しえぬ傷を残した数々の大量虐殺のあとで、哲学は「悪」をどう語りうるのか。カントが創出した「根源悪」の概念を軸に、人間が罪悪を犯す生来の可能性や必然性を熟考した思想家の系譜──ヘーゲル、シェリング、ニーチェ、フロイト、レヴィナス、ヨーナス、アーレント──を鋭く一望する。弁神論による「悪」の正当化が困難な今日、倫理の根源を問い質す碩学の労作。
序
緒論
第一部 悪、意志、自由
第一章 根源悪──自分自身と戦うカント
悪しき格率
根源悪
悪魔的な悪
無制約的な道徳的責任
第二章 ヘーゲル──〈精神〉の治癒?
有限者と無限者
悪と有限性
アダムの堕罪
悪の必然性と正当化?
ヘーゲル対ヘーゲル
第三章 シェリング──悪の形而上学
実在的な悪
根拠と実存
我意と闇の原理
悪の道徳心理学
間奏曲
第二部 悪の道徳心理学
第四章 ニーチェ──善悪の彼岸
「よいとわるい」対「善と悪」
弁証法的アイロニスト
悪とルサンチマン
善悪の彼岸
悪についてニーチェから学ぶもの
第五章 フロイト──根絶不可能な悪と両価性
一群の兄弟たちが経験する両価性
欲動論
ニーチェとフロイト
悪に対する責任
第三部 アウシュヴィッツ以後
プロローグ
第六章 レヴィナス──悪と弁神論の誘惑
弁神論の終焉
悪の現象学
無限の責任
第七章 ヨーナス──新しい責任の倫理
ニヒリズムに対する応答
悪とわれわれの黙示録的状況
ヨーナスの神話を「脱神話化する」
ヨーナスとレヴィナス
第八章 アーレント──根源悪と悪の陳腐さ
余計さ、自発性、複数性
悪の意図と動機?
アイヒマン──人間的な、あまりに人間的な
結論
原注
訳者あとがき
文献一覧
人名索引
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