方言地理学の視界

ある方言を他の方言から独立した絶対的な存在であるとみなす方言学に対し、 方言はあくまでも連続的な様相を示す相対的な存在であると考える、「方言地理学」。 故・佐藤亮一氏が開拓・提案した方言地理学の理論から、資料の生かし方、記述方言学との融合、文化・社会と方言との関係までを、 隣接する民俗学や地理学などにも資する最新の成果を結集し体系的に紹介。 次世代へとつづく方言地理学の視界を照らし、ひとつの道しるべとなる一冊 方言学の根幹を問い直す「方言地理学」の挑戦！ まえがき 第1部　方言地理学の理論 第1章：共通語化と方言地理学　小林隆・熊谷康雄 第2章：方言安定期と方言地理学　大西拓一郎 第3章：分布類型、形成類型と地理方言学　安部清哉 第2部　方言地理学の資料 第4章：『日本言語地図』と方言地理学　岸江信介・峪口有香子 第5章：『方言文法全国地図』と方言地理学　日高水穂 第6章：『日本方言大辞典』と方言地理学　作田将三郎 第3部　記述方言学と方言地理学 第7章：形態論と方言地理学ー首都圏における対格の変異を例としてー　小西いずみ 第8章：テンス・アスペクトと方言地理学　津田智史 第9章：可能・自発と方言地理学　竹田晃子 第10章：モダリティと方言地理学ーゴト類の用法の多様性と山口東部方言の禁止の「コト」　舩木礼子 第11章：敬語の言語地理学ー日本語敬語形成論の構築にむけてー　中井精一 第4部　文化・社会と方言地理学 第12章：民俗語彙と方言地理学ー〈井戸〉を表す語彙　新井小枝子 第13章：口承文芸と方言地理学ーあやしことばの地域差　椎名渉子 第14章：キリシタン文化と方言地理学　小川俊輔 第15章：言葉遊びと方言地理学ー岐阜県・愛知県のチーム分けジャンケンの掛け声を例に　山田敏弘 第16章：あいさつと方言地理学ー他家訪問場面の新旧調査の比較を通して　中西太郎 第17章：交通と方言地理学　都染直也 第5部　方言地理学の新分野 第18章：オノマトペと方言地理学　川崎めぐみ 第19章：感動詞と方言地理学ー品物を手渡す場面における感動詞の地理的分布　田附敏尚 第20章：言語行動の地域差ー山形県東田川郡三川町の事例　篠崎晃一 第21章：コンピュータと方言地理学　鑓水兼貴 佐藤亮一氏の時代と学問　沢木幹栄 佐藤亮一氏略歴 佐藤亮一氏主要著作一覧 執筆者一覧