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出版社:勉誠出版
出版日:2021年06月18日頃
ISBN10:4585325026
ISBN13:9784585325024
販売価格:3,520円
1206年、チンギス・カンの即位により成立した大モンゴル国は、その後継者たちにより、ユーラシア大陸全土へその版図を広げていった。その後、皇位争いに勝利し、国号を「大元」と改めた世祖クビライが1279年に南宋を攻略したことにより、中国史に新たな統一王朝の名を刻むこととなるー元朝である。
中国史における「元朝」とはいかなる存在であったのかー。
冷戦終結に伴う史料環境・研究環境の変化により、長足の進展をなしてきたモンゴル帝国史・元朝史研究の成果を受け、元代の政治・制度、社会・宗教、文化の展開の諸相、国際関係などを多面的に考察。さらには元朝をめぐる学問史を検討することにより、新たな元朝史研究の起点を示す。
カラー口絵……『書史会要』(台湾国家図書館蔵洪武九年刊本)ほか
序言 櫻井智美
導論ークビライ登極以前のモンゴル帝国の歴史 渡辺健哉
元朝皇帝系図
本書所載論考関係年表
元朝皇帝一覧
1 元代の政治・制度
元代「四階級制」説のその後ー「モンゴル人第一主義」と色目人をめぐって 舩田善之
ジャムチを使う人たちー元朝交通制度の一断面 山本明志
元代の三都(大都・上都・中都)とその管理 渡辺健哉
江南の監察官制と元初の推挙システム 櫻井智美
【コラム】カラホト文書 赤木崇敏
【コラム】元代における宮室女性の活躍 牛瀟
元末順帝朝の政局ー後至元年間バヤン執政期を中心に 山崎岳
2 元代の社会・宗教
元代の水運と海運ー華北と江南はいかにして結びつけられたか 矢澤知行
モンゴル朝における道仏論争について
ー『至元辯偽録』に見える禅宗の全真教理解 松下道信
元版大蔵経の刊行と東アジア 野沢佳美
【コラム】南宋最後の皇帝とチベット仏教 中村淳
【コラム】夷狄に便利な朱子学ー朱子学の中華意識と治統論 垣内景子
回顧されるモンゴル時代ー陝西省大荔県拝氏とその祖先顕彰 飯山知保
3 伝統文化とその展開
「知」の混一と出版事業 宮紀子
白樸の生涯と文学 土屋育子
「元代文学」を見つめるまなざし 奥野新太郎
景徳鎮青花瓷器の登場ーその生産と流通 徳留大輔
4 元朝をめぐる国際関係
『朴通事』から広がる世界 金文京
日元間の戦争と交易 中村翼
日元間の僧侶の往来規模 榎本渉
モンゴル帝国と北の海の世界 中村和之
元と南方世界 向正樹
5 研究の進展の中で
書き換えられた世界史教科書ーモンゴル=元朝史研究進展の所産 村岡倫
史料の刊行から見た二十世紀末日本の元朝史研究 森田憲司
【コラム】チンギス・カンは源義経ではない
ー同一人物説に立ちはだかる史実の壁 村岡倫
【コラム】モンゴル時代の石碑を探してー桑原隲蔵と常盤大定の調査記録から 渡辺健哉
【コラム】『混一疆理歴代国都之図』の再発見 渡邊久
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