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出版社:白水社
出版日:2020年02月14日頃
ISBN10:4560097615
ISBN13:9784560097618
販売価格:1,980円
日本文学の泰斗はいかに誕生したのか
もし海軍日本語学校に入らなかったら、日本文学者になることはなかったーー2019年2月に惜しまれつつも東京で永眠した故ドナルド・キーン氏は、かつて自らの分岐点についてこう語った。彼に日本語、日本文学との決定的な出会いをもたらしたのは、皮肉にも大嫌いな戦争だった。本書ではインタビューを通じ、彼の日本語との出会いから学習の過程、さらに研究者、教育者としての姿に焦点をあて、日本語とともに歩んだ人生を見つめ直す。
キーン氏は日米開戦直後の1942年2月に米海軍日本語学校へ入学。翌年1月までのわずか11か月間に、仮名と漢字はもちろん、日本軍の命令・暗号解読に必要な文語やくずし字の読み方まで学んだという。その効率的な学習を助けたとされるのが、戦前の米国大使館で日本語教官を務めた長沼直兄による『標準日本語讀本』である。本書では、70年ぶりにこの教科書と再会したキーン氏が、実際にページを繰りながら当時の思い出を語った。19歳だった彼は、この教科書で初めて芥川龍之介や菊池寛の文章に触れたのだ。
インタビューの聞き手となるのは日本語教育を専門とする河路由佳氏。貴重な資料や教え子たちの証言から、日本文学の泰斗の原点に迫る。
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